中古自動車の売買(持参債務とする)で、売主Xは買主Yの住所へ自ら運転して持参した。しかし、Yは値引き交渉を試み、代金のすべてを払うことを拒絶したので、売主は自動車を引き渡さずに持って帰ることにした。乗って帰る途中、売主の経過室で事故となり、車は滅失した。XY間の法律関係について論ぜよ。



僕の答え

売主は持参債務を履行し、Yのところへ持っていったにもかかわらず、債務の履行にYが協力してくれないために受領遅滞が生じている。受領遅滞の成立要件としては債務の本旨にかなった履行が提供されたこと、それにもかかわらず債権者が協力してくれないために露光ができない状態になっていることをいう。受領遅滞の効果としては、①債務不履行責任が生じない②相手方の同時抗弁権がなくなる③注意義務の軽減④増加費用の相手方負担⑤危険の移転 があげられる。また、Yが指定した中古車はこの世に一台しかない特定物である。
 債務不履行の問題になるか危険負担の問題になるかについては、Xに帰責事由が認められるかどうかであるが、重過失であるならばXに帰責事由が認められるが、軽過失なのでXに帰責事由は認められない。よって危険負担の問題となる。
 Yがお金を支払わなければならないかどうかについては、特定物の危険負担について民法は例外的に債権者主義をとっているので、物が滅失したとしてもYの金銭債務は無くならず、Yは物はもらえないが代金は支払わなければならない。ただし、危険負担は任意規定であるので、特約があればそちらが優先する。ただ、引き渡しも受けていないのに代金だけ支払わなければならないのはおかしいという批判も多く、民法534条1項は引き渡し後に適用するというのが通説である。