昨日は、月に一度の通院日。
私にとっては仕事を遠慮なく休める日。
病院までの道のりは、癌が再転移して2週間毎に入院するたびに、娘に入院の荷物を持ってもらい歩いた道。
娘は学校があったが、コロナ禍で授業がリモート授業で、電車に乗りながらの講義が可能であった。
今は、私一人で歩いている。
何度歩いても、胸が「きゅっ」と切なくなる道である。
あの頃は、私は死んでしまうけれど、どれくらい二人でこの道を歩いていけるんだろう・・・と思っていた。
病院に二人で行くというイベントを小旅行のように感じていた。
経過観察のための診察は血液検査と問診のみ。
待合室は、多くの患者さんが自分の番を待っている。
この病院は、癌の治療が専門で、特に再発や転移した人が大学病院からの紹介で治療のために来る。(私も手術した病院は大学病院で、再転移してこの病院を紹介された。)
待ち時間が長く感じる。
長椅子も首を手術した人には疲れる背もたれが低いタイプ。
癌が見えなくなって、毎月1回の診察と3ヶ月に1回の造影剤CTが、意味のない通院のように感じ始めているこの頃。
造影剤CTの間隔を3ヶ月ごとではなく、半年に1回とかにできないかな~と最近思い始めている。
診察が私の番になった。
私の顔を見て先生は「元気だね~。」とおっしゃって、私も「まあまあ、元気です。」と答え、いつもの受けても受けなくてもいいような診察というより、短いあいさつ的な会話があり、私の診察が終わる。
私は、「ⅭTを今まで3ヶ月ごとに受けていましたが、間隔をもっとあけたりとかはないんですか?」と聞いてみた。
「もふ子さんの場合はそれはない!」とぴしゃり。
「もふ子さんは、治ったとは言えない。確かに癌は消えたけど、治ったかはわからない。なぜなら、データがないからです。」
「他の患者さんなら、数年でCTを年に1回とかに減らすことはあります。でも、もふ子さんは、発見の時にはかなり癌が進行していて、ステージ4で、とても重い症状だったんです。他の舌癌の患者さんとは違うんです。」
先生はとても厳しい目をして「私は患者さんに『もふ子さんのように薬が効いてくれたら…』といつも思っています。でも、そんなケースはありません。」と強い口調で、目をそらそうとする私の目をにらむようにおっしゃいました。
毎日毎日、多くの患者さんを診ている先生だからこそ、癌の恐ろしさを知っている。
私は、最近のいい気になって癌を甘く見ていた自分に気づきました。
喉元過ぎれば熱さを忘れるではないですが、すごくつらく、絶望的な思いをしたのに、忘れている。
反省です。
その後、会計ですごく待たされかなりの時間のロスでしたが、昨日の私は「この時間のロスと思われる時間も死んでいたらなかったのだ。」と思え、無駄な時間には感じませんでした。
しかし、心に余裕ができたのはそこまでで、その後はいつもの自分に戻り、処方薬局では、40分までは待ちましたが、しびれを切らし、「夕方に来ます。」と言って帰宅したのでした。
またしばらくしたら、喉元過ぎれば熱さを忘れるの私になると思います。