私は、とりあえず癌の転移部分は見えなくなったけど、決して治ったとか癌を克服したなんて思っていません。
癌は、私の体のどこかで、ひっそりと休憩しているのだと思っています。
だから、私の書くことがえらそうに思える人もいるかもしれませんが、数多くの治療の記録の中の一つとして、参考になったらいいなと思う程度の日記です。
オプジーボは、効果がある人とない人がいる、と聞いた時、私にも効果があれば本当にありがたく嬉しいけど、多分自分には効かないと思っていました。
人生においても、いつ私の番は回ってくるの?と思う事柄がいくつかありましたが、順番を待っても待っても私にその順番は回ってきませんでした。
残念だけど、自分はそういう星の下に生まれたのだから仕方がないと思っていました。
特に癌という病気の前では、昔から多くの人々が、無念な思いをしてきたのです。たとえ親や子どもが、「自分の命と引き換えにしてもいいから。」と一心不乱にお祈りしても、かなわなかったのですから、この病気に関しては祈りは届かないのだろうと思っていました。
初めてオプジーボを点滴する日、私はこの高価なお薬が自分に投与されることに感動していました。
今まで、自分にお金をかけるなんて無駄と思って、いつも安上がりな生活を送っていた私。
これは、人生初の最高の贅沢だ!と感動していました。
点滴の注射は、血管にすんなりと入ってくれて、点滴が始まりました。
点滴からぽたりと落ちるしずくを見た時、私の目から大粒の涙が~!
このお薬を作るために、どれだけ多くの方々研究や苦労があったのだろうか、ノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑先生以外にも多くの人々が携わってきて、今私がこの薬を使わせてもらっている。
また、この高価な薬を健康で働いている職場のみんなの掛金を使わせてもらっているんだ。
今、私は寝転んでいるのに、みんな汗水流して働いている・・・と思ったら、職場で苦手に思っていた人さえもありがたい人に見えてきて、感動が押し寄せてきました。
点滴がひとしずく落ちる度に私も涙を流していました。
看護師さんに見られたら恥ずかしいので、帽子を顔にかけて隠しては、ちらっと点滴を見て、また涙を流しての繰り返しでした。
オプジーボのしずくは、✨キラキラ輝いていました。
私は、こんな幸せな気持ちを与えてくれたのだから、病気には効果がなかったとしても、私の心には効いたよ!と思ったのでした。
神頼みは思いが通じないと思っていましたが、いつもお守りは2個持って、祈りながら点滴を受けていました。
この涙を流すという儀式は、8回は続いたと思いますが、だんだん慣れてしまって、点滴中は眠っていました。