「ジツハオレトニノツキアッテル」
ーえ?何?なんて言ったの?
翔くんの言葉は、只の音で。
俺には意味ある言葉にならなくて、とりあえずその音をただ反芻してみた。
「ジツハオレトニノツキアッテル?」
「エェッー!じゃこれ、本当にラブラブチュチュしてたってこと?」
隣で相葉くんが俺の音に重ねるように叫んだ。
ーラブラブ?
その瞬間、先刻まで只の音だったものが、言語として意味を成し、一気に形になった。
ーツキアッテルって付き合ってる、交際してるって事?メンバー内で?ってか、男同士じゃん、ニノと翔くんってそうなの?
「うん、まぁ…」
照れくさそうに答える翔くん。その腕をニノがそっと掴むのが見えた。
「もぉ、おうちまで待てなかったのぉ?」
ー相葉くん。おうちまで待つとか、そういうとこなの?気になるところ、違くない?
〔グルグル廻る俺の頭ん中。〕
「面目ない。なんか雰囲気に流されちゃって…つい。それでさ、その件でちょっと呼ばれてて」
「事務所にも、話すの?ニノと付き合ってるって?」
それまで黙ってたリーダーが口を開いた。
翔くんがチラッと見やると、ニノはフルフルと首を横に振った。
「イヤ、それは考えてなかった。とにかく3人には話しておこうってだけで。事務所には酔っ払ってぶつかったかもって事にしておこうかと」
「うん、俺もその方がいいと思うな。俺達に話してくれたのは嬉しいけど、デリケートな問題だし、打ち明けるにしても、良く考えてからにした方がいい」
落ち着つき払ったリーダーの声。
「そうだね。俺もそうしたほうがいいと思うな」
相葉くんも同意する。
ーナニ、二人とも。なんで普通に会話出来んだよ?
俺なんて、先刻から全然言葉が出てこないよ。
でも、翔くんが俺に視線向けるから、俺も同意見だと慌ててと首を縦に振る。
「わかった。そうする。ごめん、迷惑かけて。これから気をつけるから」
頭を下げる翔くん。
「謝る事ないから、全然迷惑なんてかかってないよ。呼ばれてるんでしょ?行ってきたら?」
リーダーが促す。
「うん。そうだね、行ってくる」
翔くんがドアを開けて二人は出ていった。
扉が閉まる瞬間振り返ったニノと目が合うと、ニノは何故かハッとしたような顔をしように見えた。それが気になったけど、そのまま扉は閉じてしまった。
〔俺だけが取り残された気分だ〕