第169回ルカによる福音書2

聖書学者ユード・シュネルは『新約聖書 その歴史と思想』において「ルカ福音書と使徒言行録は、言葉の使い方からも、その思想的色合いからも強い関連性が見られ、おそらくは同じ著者によるものであろうと考えられる」と語っている。更に本来『ルカ福音書』と『使徒言行録』は一冊の本であったものがある時期になって分割されたという説も出された。しかし、その場合には『使徒言行録』冒頭部分を別人による付加とせねばならないし、執筆当時の標準的な書物の形態であるパピルスの巻物では、それぞれが1冊とできるほぼ限界の長さであることなどから、現在では認められていない。