第96回イザヤ書⑤
預言者イザヤが繰り返し「アモツの子」と呼ばれているため、教父アウグスティヌスはその著書『神の国』の中で、預言者アモスの子であるとした。アモスの活動後約10年ほどしてイザヤは召命されたと考えられる。ただし、アモス、ホセアが北王国イスラエルで活動したと考えられるのに対し、前8世紀の預言者イザヤは、南王国ユダの首都エルサレムで活動した宮廷預言者であったと考えられる。そのため、アモスやホセアが主に出エジプトの伝承に拠っていたのに対し、イザヤにおいては、ダヴィデ王家とシオン(エルサレム)の選びの伝承が重視される。南王国ではほぼ同時代にミカ書によって知られる預言者ミカが活動したと考えられるが、ミカはエルサレムの徹底的な破壊をも預言した点が異なる。
また、イザヤがエルサレムで活動したということは、現実の政治権力への接近可能性という点でも重要であり、預言者イザヤは、ヒゼキヤ王の即位に際して役割を果たしたと推測される。