最近よく話す機会がある方がいる。
私は、新しい習い事をはじめたのだ。
その先生である。

会った友人に「なにを始めたでしょう〜!?」とクイズを出すと、料理、華道、書道、なんてのをだいたいあげてくれる。ふふ、なるほどなぁ。ぜんぶ違います。
こういうのは、とりあえず自分の胸の内にしまっておきたい気持ちがあるので、今ここでは言わないけれど。

まず先生と会うと「じゃあ手始めに最近あったことや感じたことを落語でいうマクラのように話しましょう」と色々な話をする。

仕事の話はあんまりしない。
季節の移り変わりについてや、行った場所や、観た映画や、食べたものや、その日の洋服をどういう理由で選んだかとか。
すべてを話しているわけじゃないし、話してくれてもいないけど、今なにが気になることなのかは良く分かり、気持ちの変化も見てとれる。

先生は、過去にあった恋バナをよく話してくれる。どれも壮絶だけど、美しい。
たぶん美化してる。でもそれがとってもイイ。

年齢は父親よりだいぶ上だけど、歳や性別って本当関係ないよなぁと思う。そして、それらがあるからこその共感できない興味深さがあるなぁとも。

世間話のひとつとして私は、
死んだら今ある記憶や感情が消えてしまう、それが虚しくて恐くて仕方ないんですよねーと話した。

先生は身を乗り出し小声で、
「人は人のこころに生き続けるんですよ、僕が死んだらすどうさんの中に僕は生きてるんです」
と真っすぐ言った。

こういうのは何度も聞いてきたはずなのに、えらくストンとおちた。

街で見かけるたび、好きだと言っていた食べ物、色、音楽、思い出すだろう。
落ち込んだとき、かけてくれた言葉が浮かぶだろう。

いっしょに過ごした時間は関係あるけど、やっぱりあんまり関係ない気がする。

知ってほしい、は、人の中に生きていたい、なのかも。

先生はよく自分の話しをする。
私も今想うことをいっぱい話す。

先生も私も、ひとりで居る時間をこよなく愛しているけれど、じつは寂しがり屋なのかもしれませんね。