「彩さんへ
この間は可哀想なことをしてしまったと後悔しています。
せっかく会いに来てくれたのに、彩から朝ごはんにカレーライスを食べてきたと聞いてすごく食べたくなってしまい、ばぁばも家でカレーを食べようと思ってしまったのです。
考えてみたらカレーはきっと一人ではすぐに食べ切れないよね。
あとから、彩は夜も一人でカレーライスを食べたんだなぁと気付きました。
本当は何か美味しいものをご馳走してあげればよかったね。ごめんね。
もうすぐ桜が咲いたら、その時は美味しいものをご馳走するからまた出掛けようね。
最近、物忘れが激しいです。心細いよ。」
一人暮らしの祖母キイから、毎月2通ほど手紙が届きます。
こんなにカレーを連発する手紙を貰ったのは、生まれて初めてです。
ばぁば、大丈夫だよ。
カレーは冷凍しても美味しいし、
わたし一人ごはんを日々エンジョイしてるよ。
手紙の内容は大体、私の心配と自分の老いについて。
「お風呂で眠るとね、死ぬんだよ」
、、もう何百回も寝てないよと言ってるのに、これチョーしつこく言われる...よほど寝そうに見えるんだね...
「最近、眼鏡をかけないと新聞が読めなくなりました。歳だね」
、、うん88歳だもんね。最近まで眼鏡をかけないで読んでたのが逆にすごいわ!
そんなキイと毎年恒例の国立お花見散歩に行ってきました。
この日はとっても暖かくてお花見日和。
キイは化粧がうまくいかなかったからとマスクを頑なに外しません。
綺麗だったなぁー。
やはり桜を見ると、しあわせな気持ちになりますね。
そして大好きだ、国立!
新しいお店もできているけど、しっかり古くからの老舗も残っていて。
お花も多いし、手入れが行き届いてる。
野外で骨董品を売っていたり。
幼少の頃から慣れ親しんだ街なので、ホッとする。
毎年ごはんもお茶もいくつかあるお気に入りのお店をローテーションしてましたが、今年は初めてのお店に行ってみよう!と、ぶらり。
かわいらしい和食も、パンケーキも、美味しかったー。
こんなつまらなそうな顔をしているキイだけど、
パンケーキを相当気に入ったようで、あっという間に平らげました。
食べ終わって暫くたってからも、
こんなふわふわなパンケーキは家では作れないわよねえ...と何回も残念そうに言っていたよ。
美味しかったんだね。また食べにこようね。
あや