メディア批評系の卒論をどう指導するか
| Theoretical Sociology
非常に考えさせられる、問題提起でした。
ただ答えを一言で言うと、「先行研究の有無」なのです。
>なぜか流行歌の研究は比較的うまくいっているような気がするし、
このことが端的ですが、ポピュラー音楽社会学は1ジャンルとして成立しており、先行研究があります。
非常に若いジャンルではありますが、「音楽社会学者」を名乗る権威は、すでに存在します。(小川博司先生など)
しかしアニメ、漫画、ゲームなどの先行研究は、ほとんどありません。
これが卒論を書くにあたり、流行歌は上手くいって、その他は上手くいかない、理由なのです。
それだけなのです。
ついでに、「メディア批評」を学生が選んでしまうのも理由があって、先行研究がないから、自力で出来るものとなると「批評」にしかならないという順序の方が、正しいと思います。
……真面目に語ると、肩が凝ります(ぱきぽき)。
ちなみに、「先行研究」とは、論文とか文献(学術書に限る)ですね。
ライターさんが書いた文献などは、もちろん参考にはなりますが、先行研究とは呼べません。
そんなわけで、ポピュラーカルチャーを題材に、卒論を書こうと思ったら、あるいはそれ以外でも卒論を書こうと思ったら、まず先行研究がどれくらいあるかは押さえましょう。
優れた先行研究のあるジャンルはそれだけで、なんとか格好のつく論文が書けます。
夢も希望もない、テクニカルな現実です。
それでも俺は夢を追うぜ!という気概のある学生さんは、とりあえず……。
例としてアニメを挙げます。
・まず、その時代のアニメは全部観た上で、自分が何を問題提起したいか考え抜いて、選りすぐりの一本を選ぶ。
・過去50年のアニメ史は全部押さえる。
・問題提起したいことにまつわる、先行研究は全部押さえる(ナショナリズムであったら、ナショナリズム研究はそれなりに歴史があるので、全部全部♪)
まあ、この程度やれば、なんとか卒論にはなるかな……。
修論(修士論文)は無理ですよ。
これでも「応急処置してなんとか格好つける方法」でしかないですからね。
ポイント(キーワード)は「全部」だ。
このアニメ視聴率取れなかったからとか、このアニメ評価低かったからとか、ましてやこのアニメつまらないから、なんてナシだぜ。
研究の基本「不味くても、全部食え」。
そのうち美味しく思えてくるから。いや、本当に。
不可能とは思っていません。
今時の学生さんの、勉強能力はスゴイですからねー。
この程度でも、気が遠くなりましたか?
じゃあ近道する方法を教えてあげましょうか。
→「先行研究」
これ現実。
全部全部♪から、「学ぶべき価値のあるものだけ教えてー」への道。
先行研究を馬鹿にしてはいけません。
それは先輩の学者の皆さんが、人生費やして絞り上げた「本当に価値のあるもの」の集大成なのです。
ポピュラー文化研究であれば、専門の分野はもちろんのこと、ポピュラー文化一般、ポピュラー文化以外の文化一般、社会学一般、社会学以外も一般、ひろーく修めた上で(本当に全部全部だ)。
なおかつ本当に価値のあるものだけを、自らの言葉で、社会に向けて叩きつけたものが、「論文」。
乾坤一擲(のるかそるかで)、「世界を変えるぜ」。
私はアニメや漫画やゲームで社会を語ることが不可能とは、まったく思わないし、現在それが不可能なのは、ひとえに先輩社会学者の力が及ばなかったというだけのことだと思っています。
名もなき社会学者の、死屍累々♪
そんなわけで、あれです。
「人生費やして、アニメや漫画やゲームを社会学の1ジャンルにしてくれる人、募集中」。
※ただし、死なないためにも、天才に限る。