問81 | 社労士までの道

社労士までの道

社労士になろうと決心したのが最近。
問題などアップして行こうと思う。

労災保険の適用があるにもかかわらず、労働保険徴収法第4条の2第1項に規定する労災保険に係る保険関係成立届(以下、本問において「保険関係成立届」という。)の提出を行わない事業主に対する費用徴収のための故意又は重大な過失の認定に関する次の記述は、正しいですか。なお、本問の「保険手続に関する指導」とは、所轄都道府県労働局、所轄労働基準監督署又は所轄公共職業安定所の職員が、保険関係成立届の提出を行わない事業主の事業場を訪問し又は当該事業場の事業主等を呼び出す方法等により、保険関係成立届の提出ほか所定の手続をとるよう直接行う指導をいう。また、「加入勧奨」とは、厚生労働省労働基準局長の委託する労働保険適用促進業務を行う一般社団法人全国労働保険事務組合連合会の支部である都道府県労働保険事務組合連合会(以下「都道府県労保連」という。)又は同業務を行う都道府県労保連の会員である労働保険事務組合が、保険関係成立届の提出ほか所定の手続について行う勧奨をいう。

事業主が、労災保険法第31条第1項第1号の事故に係る事業に関し、保険手続に関する指導を受けたにもかかわらず、その後10日以内に保険関係成立届を提出していなかった場合、「故意」と認定した上で、原則、費用徴収率を100%とする。

 

YES or No

 

解答は  YES

 

 

 

安全配慮義務

使用者は、労働者の安全や衛生についても配慮する義務があります。

そのような配慮をしなかった結果、労働災害が発生したとすれば、使用者側は債務不履行(民法415条)として、損害賠償を行わなければならないことになります。

安全配慮義務は時効が10年であり(民法167条1項)、不法行為の3年(民法724条)より長くなっています。

 

安全確保のための罰則

労働安全衛生規則には、事業主が設置すべき安全設備などが規定されていて、この違反について労働安全衛生法が「罰金刑を科する」と記載されている場合は、処罰の対象となります。

たとえば、プレス機械等に対する安全囲いが規則に定められており、この違反が労働安全衛生法119条1号の「6か月以下の懲役または50万円以下の罰金」ですから、その違反について、工場長や部課長が行為者として6か月以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられるほか、法人である株式会社も50万円以下の罰金刑に処せられることになります。

 

費用徴収

事業主が故意又は重大な過失により生じさせた業務災害の原因である事故について、労働基準監督署長が労災保険給付を行ったときは、その保険給付に要した費用に相当する額の全部または一部を政府が事業主から徴収できることとなっています。

もし、事業主が徴収督促に応じないときは、労災保険法第31条4項の規定によって、国税滞納処分の例により強制的に徴収することもできます。

対象となる事故は、次のようなものです(昭和47.9.30 基発第643号)

(1)直接的かつ具体的な危害防止法令に明白に違反する事故
(2)行政庁の具体的指示があり、それを怠ったことによる事故
(3)危険急迫による行政庁の指示を怠ったことによる事故

具体的な基準としては、休業補償給付、障害補償給付、遺族補償給付、葬祭料および傷病補償年金のそれぞれについて、療養を開始した日の翌日から起算して3年以内に支給事由が生じた分についてその100分の30に相当する額が徴収されます(昭和47.9.30 基発643号、昭和52.3.30 基発192号)。

なお、労働者が安全のための義務に違反したことによって労働災害が発生し、給付を受けることになった場合も、保険給付の一部(現取扱では休業補償給付等の30% 昭和40.7.31 基発906号、昭和52.3.30 基発192号)が減額される可能性があります。

 

労災保険に入っていないときの罰則

事業主が故意または重大な過失により保険関係成立届を提出していない間に事故が発生した場合や、事業主が一般保険料を納付しない間に発生した事故について保険給付を行った場合も、政府はその保険給付に要した費用の全部または一部を事業主から徴収することができます。

労災を認めないと

会社が、あくまでも労災であることを認めず、労基法上の休業補償を行わないと、理屈上、労働基準監督署長は労働基準法第102条の規定によりこれを捜査したうえで、会社や管理職を労働基準法第76条違反として、送検することもできます。

これに対抗するために会社は、労災でないと考えている労災保険給付請求に対し、労災保険法施行規則第23条の2の規定により、労働基準監督署長に対して、文書による意見を申し出ることができます。

 

労災かくし

 

会社も罰せられる

「労災かくし」とは、労働災害の発生事実を隠蔽するため、

1. 故意に労働安全衛生法に基づく労働者死傷病報告を所轄労働基準監督署長に提出しないもの又は

2. 虚偽の内容を記載した労働者死傷病報告を所轄労働基準監督署長に提出するものをいいます。

全国での労災かくしの件数は以下のとおりとなっています。

平成17年平成18年平成19年平成20年平成21年平成22年
115件138件140件148件102件97件

 

労災かくしに対しては、次のような罰則があります。

従業員が独断で行った行為であっても、業務上であれば、会社も罰せられることになっています。

 

労働安全衛生法

第120条
次の各号のいずれかに該当する者は、50万円以下の罰金に処する。
(1~4 略)
5 第100条第1項又は第3項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は出頭しなかった者

第122条
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業員が、その法人又は人の業務に関して、第116条、第117条、第119条又は第120条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。