介護の現場では、利用者がトイレに行きたい時に遠慮なく声をかけてもらえる環境を作ることが大切である。特に、要介護者は身体機能の低下や認知機能の低下により、自分でトイレに行くことが難しい場合がある。そのため、介護士によるトイレ介助は必要不可欠なケアであるが、利用者が遠慮してしまい、声掛けをためらってしまうケースも少なくない。
要介護者がトイレを我慢する背景には、忙しそうな介護士への遠慮がある。介護士が常に忙しそうに動き回り、余裕がないように見えると、利用者は「こんな時に声をかけてはいけないのではないか」と考えてしまう。また、介護士の表情が険しかったり、疲れているように見えたりすると、さらに声掛けしづらくなるのだ。
トイレを我慢することは、利用者の健康に悪影響を及ぼす可能性がある。膀胱炎や尿路結石、便秘などのリスクが高まるだけでなく、我慢を続けることで失禁につながる場合もある。そのため、介護士は利用者が遠慮なくトイレ介助を依頼できる環境を作ることが大切だ。
まず、介護士は利用者に対して、定期的にトイレの確認を行うことは介助の前提といえる。「トイレに行きましょう」「お手洗いは大丈夫ですか」など、優しく声をかけることで、利用者は安心してトイレの必要性を伝えることができる。
このほか、ケアコールを押しやすい場所に設置するなど、利用者がすぐに助けを求められるように配慮しよう。
介護士は、利用者の尊厳を守り、快適な生活を支援する責任がある。利用者が遠慮なくトイレ介助を依頼できる環境を作ることは、介護士にとって重要な役割の一つだ。
要介護者の身の回りの世話を行う介護士の仕事の中でも、特に難しいと言われるのがトイレ介助だ。
トイレ介助とは文字通り、一人で排泄をするのが困難な要介護者の手助けをする仕事のことを言う。
トイレは、健康な人にとっては当たり前でも、体が不自由な人にとっては大変な作業となるため、しっかりと手順を覚えて、要介護者に負担を掛けないようにしなくてはいけない。
要介護者からトイレに行きたいという要望がなくても、介護士はこまめに配慮する必要がある。
要介護者は感覚が衰えていて尿意を感じにくくなっていたり、介護士に声をかけることに遠慮してしまう人もいるからだ。
申し出がないのでトイレは大丈夫だろうという判断は禁物である。
時間を見たり、食事の前やあと、入浴前など特定の行動をとった前後など、トイレ介助では要介護者の過ごし方一つ一つにきめ細かい配慮を行うことが大切だ。
介助を行う上で最初に行うのが、トイレまでの誘導だ。
誘導と言ってもただ寄り添うだけでなく、道すがら障害物の除去や段差の上り下りの確認などやるべきことはたくさんある。
無事にトイレまで連れて行くことができたら次は脱衣だ。
介護はサポートが役目とはいえ、本人ができることまで取り上げてしまうのは逆にマイナスになってしまう。自分でできるといった場合は手出しをせずに見守ることが必要だ。
脱衣を済ませたら便座に安全に座れるように誘導をして速やかにトイレの外に出る。
終わった報告を受けたら再び中に入り、清拭を手伝い着衣をさせて戻るまでがトイレ介助の一連の流れだ。
作業自体は比較的簡単で専門的な技術がなくても行える。
しかし、気を付けなくてはいけないのが尊厳の尊重だ。自身の排泄を他人に見られる行為は、非常に辛く、素直に受け入れがたいと考える人も少なくない。
前述した一連の動作に手間取ってしまうと、要介護者がストレスを溜めてしまう上に尊厳を傷つけることになる。相手の心を傷つけないためには、どの作業も速やかに行えるようにしなくてはならない。
《推奨参考サイト:尊厳を守る介護の基本~トイレ介助~》