明るいうちにパナマ運河を抜けることができ、くつろいで寝ていた午前2時半、突然船が大傾斜して、あちこちから物が落ちてくる音が聞こえ、思わず目を覚ましました。
枕元に置いてあった、昨夜のウイスキーの残りをさっ!と飲み、動きそうなものを軽くかたずけて再び眠る。
パナマ運河通過時に必要な、海水を重しに張ってあった貨物倉の水を抜き塗装作業。
前回は、水を抜いてすぐに塗装したので、貨物を揚げた後の水洗い時にバラバラとはがれてしまいました。
今回は、水を抜いてから1日置き、十分に乾燥させてから塗装。
日曜日だけど、皆張り切って作業していました。
原油を掘る井戸(オイルリグ)が見えてくると、ミシシッピー川の河口は近い。
パナマ運河を出て4日ほどの5月2日18時45分、ミシシッピー川に到着。
水先案内人が乗船して船を進めていきます。
ここがミシシッピー川の河口。
流れを緩める堤防などがあって、結構河口部分は狭いです。
タンカーとぎりぎりですれ違い(ドキドキ)。
夕陽と飛行機雲。
川上りをようやく終えて、ニューオーリンズの少し下流に午前3時20分到着。
錨を打って少し休憩です。
9時間半にわたった操船を無事に終えて、ほっと一安心。
さんまのかば焼きの缶詰を開けて、柿の種と共に晩酌です。
数時間休んで夜が明けると、税関や入国管理官などの入国審査、さらに食糧庁の貨物倉検査などがあります。
この船は穀物しか積まないので、それらの検査を難なく終えて、5月3日14時50分、大雨の中さらに上流の積み荷待機場所を目指して出航。
錨を揚げろー!(笑)。
実地研修のためということで、若い水先人が操船を担当しました。
前回気になっていた、建物の前の壁だけが残った倉庫。
双眼鏡で覗くと、現地の人がベンチに座ったり、スケボーで遊んだりと公園になっている。
水先人に聞いて分かったのですが、2005年にこの地を襲ったハリケーンカトリーナ通過後に、何者かによって放火されてしまい、前の壁を残して焼失してしまったそうです。
放火というのも恐ろしいが、それをそのまま公園にしてしまうアメリカ人もすごい!
ニューオーリンズの街が見えてきました。
積み荷待機場所の錨地に着いた23時ごろには、再び大雨が降り出してきました。
これは、電子海図の画面ですが、錨を打とうと一旦右に行ってから川の中央に戻され、再び右にまた戻されと繰り返しています。
最初のうちは、年配の水先人が「そろそろ右舵戻せ」とか「微速前進に落としたほうがいいぞ」などと言っていたのですが、どうにも船が思った方向に動かないので、最後は自分で操船していました。
やっぱり、操船は難しいと再認識。