為替相場とは
経済は国内の活動だけでなく、貿易などを通じて世界とつながっている。
先生、1-1で学習した「グローバル化」ですか。
そうだ。経済活動は国境を越えつつあるね。これを経済のグローバル化という。
しかし、国ごとにお金が違いますね。たとえば、日本は「円」ですが、アメリカは「ドル」です。
ヨーロッパは「ユーロ」だし、中国は「人民元」です。
二人ともよく知っているね。確かに国ごとにお金が違う。ドルを持っているアメリカ人が日本に来たら、ドルを円に交換しなきゃいけないね。そこで、ある国のお金と別の国のお金を交換する比率が必要になるね。これを為替相場という。
為替相場はどのように決まるのですか。
色々な原因があるけれど、基本的にはその国の強さにより市場が決める。これを為替市場という。たとえば、日本が強いなぁと人々が思えば、みんな円を買うでしょう。すなわち、需要が増える。すると円が値上がりする。また、アメリカ経済は弱いなぁと思えば、ドルを売るでしょう。これはドルの供給が増えるということだ。だから、ドルが安くなる。つまり、円高・ドル安となる。たとえば、100円=1ドル円から80円=1ドルという為替相場になることを円高・ドル安というんだ。
ちょっと待ってくださいよ。100円から80円だなんて、円が安くなっていませんか?
いや、「~円」の数字だけ見ないでよ。100円で1ドルのものが買えるのと、80円で1ドルのものが買えるのとどっちが円の価値が高い?
80円です。
ということは100円=1ドルより80円=1ドルの方が円の価値は高いよね。だから、円高・ドル安というのです。逆に80円=1ドルから100円=1ドルのなることを円安・ドル高という。
ドルと比べて円高であっても、ユーロと比べて逆に円安ということが起こることがありますか?
もちろん。為替相場は基本的にはその国の強さを人々がどう見るかで決まるんだから。
為替相場の影響
先生、為替相場、たとえば、円安になったら日本にはどういう影響があるんでしょう?
輸入と輸出について考えてみよう。円安ということは、80円=1ドルから、100円=1ドルになることだ。つまり、80円で1ドルの物を買えていたのに、100円出さなければ買えなくなったのだから、実質的な値上げになる。輸入には不利だね。輸出はどうなる?
アメリカ人の立場からいえば、今までは1ドルで80円の物しか買えなかったのに、1ドルで100円の物を買えるようになるということですから、実質的値下げになるので、買いやすくなります。つまり、輸出には有利です。
そうですね。逆に円高ではどうなる?
100円=1ドルから80円=1ドルになることですから、日本人は今まで100円出さなければ1ドルの物が買えなかったのに、80円で買えるようになったということです。これは実質的な値下げですから、輸入に有利ということです。
正解です。輸出については?
アメリカ人からすれば、今まで1ドルで100円の物が買えたのに、80円の物しか買えなくなるということです。これは実質的な値上げです。だから、日本製品は売れなくなるはずなので、輸出には不利です。
そうですね。この為替相場の経済に与える影響は大きいのですよ。たとえば、2019年は円高になり、自動車会社など輸出が多い企業は大損失でした。トヨタは1円の円安が一年続くと約400億円の損失が出るそうです。
それは大きな影響がありますね。
だから為替相場が急激に変動する場合、政府・日本銀行は為替相場に介入することがある。たとえば、円高が急激に進む場合は、政府や日銀が円を売り、円高を防ぐのです。
ポイントはこれだ! 国際金融
円高~輸入有利、輸出不利 円安~輸入不利、輸出有利
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