彼が造影剤CTの検査をしたそうです。
今抗がん剤の最中なので、転移がどうなっているかの検査だろうと思います。
LINEで結果はどうかな?と訊いてみましたが、
はぐらかされました。それ以上は無理にきくことはできず、それでも心配は心配です。
彼が言いたくなった時で良いだろうと今はスルーすることにします。
問題はそのこと以上に胃全摘の後遺症がまだまだ辛いようです。食事が思う様にできない。食べられない。お腹の痛み、ダンピングに苦しむ日々。
人間ドックを受けるまでは、元気そのもの、食欲も旺盛でなんら変わらない毎日を過ごしていたのに…
私は未だ彼の手術は正しかったのか疑問です。
しかも術後数週間での肝転移…
癌発見の時から見えない転移はあったと思います。
そうなると胃を全摘する手術に意味があったのか。です。人間食事ができなくて、栄養が取れなくなると、抵抗力が弱り、余計に癌細胞が増殖するのでは?と。
胃がん手術といえば30年ほど前に、人気アナウンサーの逸見政孝さんという方がいました。
逸見政孝さんは、とても知的で紳士的でいながら、
ちょっと惚けたところとか、イメージと違うノリの良さでとても人気があった方です。
そういえば、わたしが入社した会社の入社式に特別ゲストとして来てくださいました。
私の入った会社は当時かなりの大企業だったので、新入社員数も多く、大ホールで行われました。そこに社長との対談がありましたね。内容は忘れましたが、
印象はテレビそのものと同じという感じでした。
その逸見政孝さん。
彼は48歳という若さでスキルス胃癌に罹り、
告知の会見からたった4ヶ月で旅立ってしまわれました。
逸見さんは、弟さんを同じ胃癌で亡くされていたので、毎年かかりつけ医で胃カメラで検診をされていたそうですが、それでも早期発見に至らず、
転院した東京女子医大で診察を受けた時にはかなり
癌が広がっており、手をつけるには難しい状態だったそうです。
その病態で、当時の名人外科医の羽生富士夫
教授が執刀医となりかなり広範囲の大手術を行いました。その頃は、薄膜播種があった時点でも手術が行われていたのはあったそうですが、
私個人的には、その手術が、逆に逸見政孝さんの命を縮めてしまったであろうと思います。
胃全摘、その周りにある臓器摘出。大腸の殆ど、膵臓の三分の一と脾臓、十二指腸、その他播種している病巣22ヶ所と合計3キロ摘出でした。
その様な手術で仮に成功したとしても、その後の生活がどうなるのか、後遺症で命を落とす可能性は充分にあると思います。
手術に挑む前のあの力強い記者会見が彼の最期でした。
ある意味大学病院の先生の権威のための手術であったようにしか思えません。それをいかにも正しい、素晴らしいというように讃える後に続く医師達…
私達一般人、患者の考えとは少し違う世界にいるのではないでしょうか?
逸見政孝さん自身も、命が長らえるなら、手術ができなく別の治療でも納得はしていたと思います。
医師の仕事は、手術の実績ではなく、患者が退院後、普通に生活ができるよう手助けすることではないでしょうか?
スキルス胃がんにおいては、腹膜播種がある場合、まず抗がん剤で播種を抑え、消えて来たのを確認してその後手術という風に今はなっています。
それでも胃を全摘するというのはその後の生活において大きなリスクを伴うことになります。
人間の欲求、食欲というのは、栄養を摂る命を維持するだけでなく、食べる楽しみという最大な位置にあります。食べるということは一つのコミニュケーションであって、美味しいものを通じて会話や人との仲も深まっていく…
その一つが奪われていくというのは、本当に辛いと思います。私も一時的ですが、コロナの後遺症で食べられなくなった時はきつかったです。
食べたいのを我慢するより、食べられないのに食べなくてはいけない。前者は本当に幸せだと思います。
ああ、太っちゃった。ダイエットしなきゃ
これを言えるうちは幸せなのだと…
彼はこれからもこの後遺症に向き合っていかなければなりません。