線香花火。27 | 日々是奇跡〜妄想の嵐〜(bl小説)

日々是奇跡〜妄想の嵐〜(bl小説)

素人の妄想で綴った戯言話です。
BLが苦手な方は足を踏み入れませんように…
翔潤*末ズがメインです。
嵐さん大好きです。浅くて薄いファンですのでお手柔らかに。





タクシーの運転手さんが地元のお酒が売っている店に寄ってくれたので

それを取り出してテーブルに並べた。

俺も潤もシャワーを浴びて部屋着になってどれを飲もうか見比べる。



「翔さん花火大会も調べてくれてたの?」


「せっかく店予約してたのになぁ。」


「残念だけど、でも俺はこれはこれでアリだよ。めっちゃ寛げるし。このおつまみも地域限定って書いてるし。」


「そうだけどさぁ。」


「花火…見たかった?」


「まぁ…、花火っつーか、潤と見てないからさ。」



外は雨。

これは誰かが意図的に仕組んだわけじゃないから、俺と潤は花火大会に縁がないんだろう。



「翔さん、一昨日メールもらったとき、二宮といたんだ。」


「え?」


「二宮が飲み過ぎて気持ち悪くなって。」


「そ、そうなんだ…。急にどうした?」


「お昼、俺に聞いてたでしょ?」


「あれは…、」


「昨日の打ち上げで二宮が寄ってたから駅まで送ろうと思ったらちょうどその地域で花火大会があって。」


「…潤は花火見たんだ。」


「ごめん。」


「謝る必要はないよ。今日のことだって潤に言ってたわけじゃないし、実際この天気で見られないし。てか、見ることが出来たとしても昨日見ちゃいけないなんてわけじゃない。」


「二宮は俺のこと松本って呼んでる。」


「それも別にちょっと気になっただけだから。」


「翔さん、俺のこと好きなんでしょ?」


「ど、どうしたんだよ。酔ってたりする?」


「酔ってない。飲んでないよ。」



テーブルに並べたお酒には

まだ手を付けてなかった。



「好きだよ、いつも言ってんじゃん。」


「ね、その「好き」はどんな「好き」なの?」


「どんなって…。」


「俺に気を遣ってくれて、優しくて、いつも先回りして俺が困ることを避けてくれて、本当に翔さんには助けてもらってると思ってる。」


「それは潤が好きだからだよ。誰にでも優しいわけじゃないよ、俺。」


「正直に言うと、二宮はカズに似てるから気になったのかもしれない。だけど、今はちゃんと二宮として二宮の気持ちを感じる。」



潤の言葉に俺にとって

最悪のパターンが頭に浮かぶ。



「潤も…二宮を好きになってるってこと?」



恐る恐る聞いてみた。

潤は俺の質問に首を横に振った。

その反応に俺は心底安心する。



「けど、二宮は俺が誰が好きだとか関係なく俺を掴もうとしてくれる。」


「翔さんはずっと何に遠慮してるの?」



もどかしそうな潤。

だけど俺は俺で考えてるわけで。

いつも潤のこと考えて、

カズの気持ちも考えて、

そうなったら軽率には動けない。



「遠慮…するだろ。潤の気持ちもカズの気持ちも、痛いくらい知ってるのに…!」



手に力が入って拳が震える。

だけど何に遠慮してるのか。

潤の言葉が俺の胸に刺さる。



「俺だってその二宮って奴みたいになりふり構わず潤のこと…!」



カズに遠慮?

違う。

潤に遠慮?

違う。



結局俺は

「翔さんに賭ける」と言った潤に

「賭けに負けた」と思われることを

恐れてたんだ。



ー翔さんがこうやって引っ張ってくれなかったら俺はずっとあの場所から離れられなかったよ。


「昨日、花火を二宮と見て思い出したんだ。俺が1人で見上げたあの場所から連れ出してくれたのは翔さんだって。」


ー離れたかったかっていうとわからないけど、離れなきゃいけないって思ってた。でも離れる勇気もなかったから。だから、ありがとう。


「二宮のことカズに似てるからじゃなくて、家族じゃない人だからドキドキするんだって。」


ー潤くんのこと引っ張ってあげないと

 

「翔さんは家族じゃないでしょ?俺、翔さんに賭けたんだよ?」


ー翔さん、無理にでも潤くんを手に入れたいってくらいの気持ちじゃないなら、中途半端に潤くんのこと誘わないでください


「それともこの賭けはもう翔さんの中で結果が出てるの?」



俺は潤に手を伸ばした。



「潤……。」



潤を最後に抱きしめたのは

きっと潤の地元の花火大会の次の日

俺と相葉くんが帰る日以来だ。


あの日の覚悟とか引けない気持ちとか

潤の幸せと自分の幸せが同じだったら

いいなって思った気持ちを思い出して

ギュッと潤を抱きしめる。



久々の感触。



潤の体が熱い。

潤の顔が赤い。

体を少し離すと

ぼぉーっとした潤の目と視線が合う。



「くしゅんっ!」


「へ?」


「くしゅんっ!!」


「じゅ、潤?」


「翔さん…、なんか寒気する。」


「マジか!」



おでこに手を当てると間違いなく熱い。



「ごめんね…。」



潤が指差していたベッドに横になっ

布団にすっぽり包まって言った。



「いいから、薬効くといいな。」



薬を近くのドラッグストアで買っ

潤に飲ませた。

おでこにも冷えピタを貼ってやる。



「せっかくの旅行なのに。」



汗をかいたり雨に濡れたり、室内の冷房で体内温度がおかしくなってしまったのだろう。



「いいってば、もう眠りなよ。」



俺はどうしようかちょっと迷ってから

潤の頭を撫でた。



「ん…。」



しばらくして潤の寝息が

穏やかになった。

最初眉間にシワが寄っていたけれど

もう大丈夫そうだ。