線香花火。1 | 日々是奇跡〜妄想の嵐〜(bl小説)

日々是奇跡〜妄想の嵐〜(bl小説)

素人の妄想で綴った戯言話です。
BLが苦手な方は足を踏み入れませんように…
翔潤*末ズがメインです。
嵐さん大好きです。浅くて薄いファンですのでお手柔らかに。






「もしもし?潤、何時に終わる?」 


「今から打合せがあるから…、9時には着けるかな。」


「じゃあ俺先に店行ってるわ。店の場所平気?」


「うん、大丈夫。」



給湯室で電話を切って

スーツの胸ポケットに

スマホを片付けると

同僚の二宮が腕を組んで

ニヤニヤしながら俺を見ていた。



「彼女?」


「違うよ、友達。」


「ふぅ~ん。」


「なんだよ。」


「べっつに~。」



俺はこの同僚の二宮が苦手だ。

だって

双子の兄弟のカズに似てるから。



「9時に待合わせって、無理じゃない?」


「お前、聞いてたの?」


「聞こえたんだよ。」


「9時ならさすがに…。」


「あの部長の打合せの長さを舐めちゃいけないよ?俺半分きいてないけどさ。」


「え、それ不味くない?」


「大丈夫だよ、聞いてるフリしてりゃ。」



だけど

就職を機に上京した俺にとっては

社内で気兼ねなく話せる奴だったりもする。



二宮の言うとおり

部長の打合せは予想より長くて、

打合せ終わりに

急いでタクシーを拾って飛び乗った。



「お、来た来た。こっち。」


「打合せ長引いちゃってごめんね、翔さん。」


「お疲れ。ビールでいい?」



翔さんは地元で釣具屋を営む兄が

夏だけ開く海の家で俺が

バイトしていたときに知り合った。


上京することを知ってから

色々親身になってくれる翔さんは

こうして週に一度は

食事に誘ってくれる。



「部長の打合せ長いのは分かってたんだけど、予想を上回った。」


「夕方からの打合せって長引くと辛いよな。」


「同期に二宮っているんだけど、そいつに9時は無理だろって言わたんだけど、案の定俺の読みが甘かったよ。」



氷が溶けて色の薄くなったウイスキーを飲んでいる翔さんを見て、ああ長い時間待たせてしまったなと思った。



あの花火大会の日からずっと。

翔さんはいつも俺を待ってくれている。



「二宮って人は潤と同じ部署なの?」


「うん、すごい要領良くてさ。俺とは違うよ。」


「俺は潤の不器用だけどひとつひとつ一生懸命なとこ好きだけどな。」


「…俺は翔さんのそういうとこ、未だになれないけど。」


「ははは!そうやって照れる潤も俺にはツボだったりして!」



俺はなにも言えなくなって

ジョッキを口につけた。

そんな俺を見て

翔さんは目尻の皺を長くした。



翔さんは俺に一目惚れしたと言って、

海の家でバイトしてる俺に告白してくれた。

俺には絶対叶わない好きな人がいて、

それも理解してくれた上で今日に至る。



ー俺に賭けてみなよ



そう言ってくれた翔さん。

そんな翔さんに賭けることにした俺。

翔さんを利用してるだけといえば

それまでだけれど。


俺は翔さんのおかげで

気持ちが少し楽になった。



それは嘘じゃない。



翔さんとこうやって食事するのは

俺の中での優先順位は高い。

笑いかけてくれる翔さんに

癒されてるのも事実だ。



「潤、次の休みは何してんの?」


「特に予定はない…、あ。」



予定は、あった。

さっき予定が入った。


部長との長い打合せ終わりに

片付けてる最中だった。



「ほら、言ったろ?」



慌てて片付けをする俺を見ながら

二宮は腕を組んで言った。



「こんな予想は上回ってくれなくていいのに。」


「俺の勝ちだね。」


「は?」



片付けていた手を止めて

顔を上げると

ニヤニヤする二宮と目が合う。



「次の休みの日、メシ食おうぜ。お前の奢りでさ。」


「はあ??なんで俺が?」


「予想外したじゃん。」


「だからそれがどうなってご飯を奢る話になるんだよ。」


「手、止まってるよ?待合わせの時間遅れてんでしょ?早く早く。」


「ったくもう、」



翔さんを待たせてることが俺の思考回路を碌に働かせず、とりあえず休みの日に約束だけさせられたんだった。



「さっき話した同期と約束してるんだ。」


「そっか。」


「ごめんね。」



翔さんが見るからに残念そうなので

申し訳なくなる。

二宮との半ば一方的な約束を断ろうか

頭によぎるけれど。



「ううん、仲がいい同期がいる方が仕事の愚痴も言えるもんな。」



翔さんは俺の気持ちを察して

先回りしてくれる。
























えいっ!!

さぁ、更新だっ!!