子供の頃から、何か満たされないものを感じていた。どんなに貧しい暮らしでも、食べ物に事欠くことはなかったし、普通に学校にも行けたけれど、何かが欠けているという感覚があり、

それを満たすために、時には自らを偽り、時には甘えもあったやもしれない。そんな私が初めて人を好きになったのは中学生の時、初恋は運が良くないと、実らないと言われているようだが、私の場合も一方的な片思いで、当時憧れていた同級生は、生徒会の役員で、野球部のエース。それ故に女の子にはもてていたようだ。その時には、どうも付き合ってた少女がいたので、私が通行人などに尋ねて、町の中央を流れる川沿いの集合住宅にあった彼の家を、

訪れても、けんもほろろの扱いをされた。

人一倍コンプレックスが強かったから、彼のように何でも与えられてる存在には、憧れを抱き続けたものだ。


しかし大人になるにつれ、各自の生き方は異なり、恵まれているように見えても、本当は孤独だったり、発展途上国のように、経済的に困窮していて、食べ物すら満足に与えられず、一見

可哀想に見える国の子供たちが、きらきらとした笑顔を絶やさない光景は、とても素晴らしいと痛感するので、何がその人にとっては、幸福なのかはわからないものである。


この世は生まれながらに不平等である。ヨーロッパ特にイギリスは階級制度の国なので、どんな階層に生まれたかにより、幼稚園から、大学に行くまでの学校の選択は、それぞれの階層により、区別されているらしい。例えば普通の庶民が入る公立の学校とパブリックスクールとでは、教育方針から、そこに集まる生徒への扱いも異なる。そして主に上陸階級の師弟が

通うパブリックスクールは全寮制の所が多く、

広い庭付きの大豪邸に住むお金持ちの麗女は

ある年齢になると、親から離れて、そんな学校に入学させられる。そこでは厳しい教育がなされて、上流階級としてふさわしい素養を、身につけるのである。今はどうなのかは知らないが、イギリスに限らず、ヨーロッパの国々では

子供が悪さをすれば、親や教師はその子供を

鞭で打っていた。それはある一定の年齢までで、その厳しい教育により、人としてほ礼儀や

常識などを学んでいくのであるが、私は映画好きで、特にそんな上流社会は、映画の登場人物の背景になることも多いので、豪華なお屋敷に

住み、メイドや執事がいて、その当主や家族の世話をする状況に、憧れたものだ。今は亡き母が若い頃都会のあるお金持ちの家で、メイドとして働いたことがあり、メイド自体は食事は

余りものであったり、当主の指示には、絶対に

従わないとならなかったが、安い給料で酷使されたという話は何度も聞いていたが、家では何もせずに、身の周りのことは、メイドな執事が

行い、贅沢をしていて、頻繁にどこかの舞踏会やパーティーに出かける光景は、日々の暮らしだけで精一杯だった庶民にとっては、高値の花

だがそんな豊かな暮らしは、貧しき者の犠牲の

上に成り立っている現実も、徐々に知るところとなった。


イギリス出身の有名な女優であるビビアンリーが、ハリウッドデビューを果たしたアカデミー賞をいくつも受賞した南北戦争を舞台にした

マーガレット ミッチェル原作の風と共に去りぬでは、ビビアンリー演じる富豪の娘である

スカーレットオハラが、住んでいる町が、アメリカの南部で、当然南軍を支持し、彼女が密かに恋こがれていたアシュレーが、親戚の娘と

結婚し、その戦争に召集され、無事に帰還したものの、爆撃により、彼等の邸宅は破壊され、

雇われていた使用人も、次々と辞めて、屋敷から去り、彼等は食べ物さえないどん底の

暮らしを強いられた。絶望の中でかつては、

多くの奴隷を使って耕していた畑だけが、残されていたので、スカーレットは妹たちと共に

その畑を耕し、綿花を作り始める。それまで

働いたことがなかった彼女の妹たちは、その

仕事のハードさに、根を上げそうになるが、

スカーレットはそんな妹たちを叱咤し続ける。

そして妹のフィアンセであった男性をそそのかして、妹から奪い、結婚までして、アトランタでその男性が始めた雑貨店の経営にも、乗り出す。そして敵であった北軍の残党たちを相手に、商売をして、暴利を貪るようになる。


彼女が慕うアシュレーの邸宅でかつて開催されたパーティーで出会い、戦争中に助けられた

レッドから、後に求婚されて、結婚したものの、彼女の心にはアシュレーがいて、レッドは

激しい嫉妬に駈られるが、アシュレーの妻であるメラニーが病いで、天に召される、子供と残されたアシュレーが嘆き悲しむ様子を見て、彼女は本当の自分の気持ちに気づく。

けれども彼女から心が離れたレッドは、非情にも彼女から去っていくのである。この映画は

戦争により、翻弄された人々の人生を描いているが、特に興味深いのは、栄華は続かないという現実が描かれていたことだ。上流階級だった

登場人物たちは、戦争で全てを失い、その日の

暮らしにも事欠くようになった。そうすると

それまで仕えていた使用人は去り、土地があれば、莫大な税金が請求され、それが滞納すると、不埒にもそれを安く買い叩こうとする

者まで現れるという始末だ。そこに私は社会の

真実を見るのである。だからその実態は、多面的に見ないと、把握出来ない。外見では華やかだが、実際は経営難で火の車状態であるケースもある。


故にもしその憧れに少しでも近づきたければ、

相応の努力をする必要があるし、なかなか

難しいが、聖書の言葉の如くに、与えられているもので、満足した方が良いのかもしれない。

いくら欲を出しても、それには限りがなく、何かを手に入れても、もっと良いものを手に入れたくなるのが、悲しいかな人の性。少し足りない位がちょうど良い。その穴を埋めるべく、

知恵と工夫をこらして、生きるようになるからだ。そしてその先には、何らかの報いはあると、私は信じたい。そうして生きてきたし、

これからもその生き方は、おそらく変わらないだろうと思うから、、

うらやましいこと

 

 

 

 

 

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