子供の頃から、憧れていた仕事があった。
虚弱体質で、本ばかり読んでいたし、映画や
演劇等が好きだったから、いつか新聞に、
大きな本の広告が出るような物書きになりたいと願っていた。しかし本の世界には、なかなか
進めず、生きるためには、何でもやった。いずれも私が、望まない仕事であった。普通は生活のために、夢を諦め、好きではない仕事でも、我慢するのだろうが、私の両親は仕事に、充実感を抱いており、よく仕事に行きたくないとか、それが嫌だと思ったことはないと、話していたものだが、拘りが強くて、諦めることが、
嫌いだった私は、いくら生活のためと言えども、嫌いな仕事を我慢して、行うことに、とても不満を感じていて、物書きになりたいという夢だけが、いつも心の支えだった。
定年前に会社を辞めた時に、もう会社に隷属し、自らを抑圧するような働き方をしたくないと思い、それまで書き貯めていた原稿を、印刷会社に持ち込んで、初めて自らの本を作り、
意図したわけではなかったが、それが起業に
結びついた。
長い間の悲願であった物書きとしての一歩が
ここから始まったのである。それを販売するのは大変だし、ビジネスにおいては、何よりも
資金力が必要だが、私は会社人間を卒業する
まで、低賃金で働き続けてきたし、最後に勤めた会社では、非正規でしかも福利厚生の対象から、意図的に除外され、雇用保険すらかけて
いなかったので、そこから離れても、何の保証もなかったから、全く何もない状態から、仕事を始めた。しかし出版業界が不況で、容易には本は売れず、電子書籍が主流を占めていて、
よく経営者が、ブランディングのために、本を出していた。実際に私が出会った電子書籍の
出版プロデューサーの誰もが、そんな本を
出すことで、世の中に認知され、本が売れれば、その著者の宣伝にもなる。そしてそれにより、ブランド力も高まると、強調しており、私は本の世界だけで、生きたかったし、そんな
発想は全くなかったので、それに違和感を
感じたものだ。
しかしいすれにしても、今私はずっとやりたかった好きなことが、仕事になっている。本当に
こんな風に夢が叶うまでには、長い時を用したし、私の夢を壊そうとした人々も多かった。
また自らの意志で、進もうとすれば、それを
阻む動きは常にあり、私はそれらと戦いつつ、
自分らしく生きたくて、葛藤した。それが
報われて、現在に至る。だから夢を諦めなくて、良かったと痛感している。憧れていて、
本来望んでいた仕事が出来て、それで生きられるようになったのだから。。