かつて娯楽が余りなかった時代があり、町には

いくつもの映画館があった。今はすでにないが、小学生の頃に通っていた珠算塾の近くに、映画館があった。主に邦画を中心に上映 

していて、時には入場者が、その外に長蛇の列を、成していたものだ。


私が住む町には、映画全盛の頃は、5.6軒の映画館があり、洋画専門だったり、邦画のみの封切館であるなど、それぞれ特徴があったが、

新作の上映を宣伝していたのは、どの映画館においても、雇われていた看板職人であった。

実は若い頃に、短期間だったが、映画館で、

アルバイトをしていたことがある。古い邦画の封切館で、今でも鮮明に覚えているのは、その

映画館内に、宣伝用の看板を制作する部屋があり、板や塗料、それにはけなどか常備されており、専門の職人が、次の上映予定の作品の主演俳優などを描いていた。そしてその看板は、

町の至る所に飾られていた。またそれと同時に

その映画のポスターが、公衆浴場の壁に、張られていたものである。


だから映画産業が斜陽になり、町から映画館が

なくなるのと、時を同じくして、家庭での鑑賞用に、映画のビデオが出回り始めた時には、

とても違和感を抱いた。今は地元には、一つも

映画館がないから、時々衛星放送で、オンエア

される洋画を見ているが、やはり私は映画館で

映画を鑑賞すべきだと、思っているし、出来れば昔ながらに家族経営の名画座のような映画館が良いと感じている。


現在はシネマコンプレックスが、映画館の主流だが、映像や音響は良いけれど、もぎりと

呼ばれた受付係がいて、映写機がある部屋には

映写技師が常勤しており、一本の映画においては、何度かフイルムの交換をする。そして

寒い日には、毛布を貸してくれるといった

人の心が伝わる映画館で、鑑賞する映画が、

何よりも良い。ただそんなアナログ的な映画館が、経営難から、次々に閉館していく現状が、

実に嘆かわしい。


そんな状態だから、家で映画を見ることが増えたけれど、映画は映画館のスクリーンで見たいし、バイオレンスものだけではなくて、多岐に

渡るジャンルを、映画会社は制作し、配給して

もらいたいと、大の映画ファンとしては、切望している。



 

 

 

 

 

 

 

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Ameba映画部