亡き母は、手先が器用で、よく縫い物をしてた我が家には、和裁用のくけ台があって、母は
それを使い、着物を縫っていた。くけ台とは、
布を合わせて、縫うためにその布を押さえる
金具がついてるもので、特に着物を作る時には
なくてはならない。しかし私は不器用で、
子供の頃から、洋裁や料理などを習うようにと
母に言われても、花嫁修業の類いは嫌で、その
忠告を悉く無視していた。
けれども皮肉なことに、私は中学時代には、
何と手芸部に入り、刺繍とか、飾りものの
動物等を、布地で作っていたのである。
あんなに嫌悪してた縫い物を、何故手芸部に
入り、始めたのかは覚えていないが、もしかしたら寝る間も惜しんで、針仕事をしていた
母の影響もあったのかもしれない。
その後はすっかり手芸の世界から、遠のいて
しまったが、純粋に編物や縫い物などを
していた時代が、妙に懐かしく思える
今日この頃である。