水棲生物に関心を持ってからこの池を思い出し、透明度維持の謎を知るべく減水時に岸辺や底の調査を行ったところ、立派なオオタニシと大量のマシジミが棲息していることが分かりました。マシジミは最大4cmに達すると文献にありましたが、その実物を初めて見たのもここでした。ちょっと信じ難いですよね、大粒のアサリに負けないサイズのシジミです。彼等が24時間休むことなく水を濾し続けている訳です。他の溜池と何ら変わらない構造&立地なのに、常に水が透き通っている理由を確信しました。
私の自宅にある水鉢や池は、この溜池をモデルに維持しています。もう4年目ですが、いちども水を替えていません。マシジミのお陰で常時底まで透き通っています。
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表題の池は、2009年初め~2010年春先にかけて堤体補強と樋門・洪水吐き工事及び浚渫が行われました。
2010/02/08の記録より。インレットが上になっています。
こげ茶色は浚渫されていない旧来の底です。
図は左上から[旧来]→[2009年初めの工事]→下段左[2009年秋一時充水]→[2010年2月の樋門工事]です。壊滅的打撃は被ったものの、3番目の一時充水時は水質復元に充分であろう生物が残っていたことを確認しています。この段階で既存在来生物への配慮を県に申し入れしましたが、何も変わりませんでした。後の樋門工事で浚渫され、池本体は壊滅しました。下右図で僅かに残っている右端のこげ茶は岩石質の崖で、泥が無い&乾燥により底凄生物の避難は見込めません。この時点でもまだ、一時充水時に移動したと思われるオオタニシが左のインレット付近に残っているのを確認できていました。しかしこの後の仮設道路撤去に伴う工事で土ごと搬出され、完全に壊滅しました。
この溜池を、久し振りに訪れました。
立派な洪水吐き。
昨今流行り(?)のコンクリートブロックによる堤体です。透明度は失われ、普通の濁った溜池になりました。少数でもオオタニシが生き残っていれば水際まで出て来ている個体がいる筈ですので、堤を降りて観察します・・・1個も居ませんでした。本日マシジミは調べる術がありませんが、減水時に来てみようと思います。
インレットが破壊されたため岸辺自体が存在せず、これを形成する抽水植物は全く見当たりませんでした。しかし彼等は強いので、土砂堆積とともに復活してくると思います。水草の方も壊滅かと思いきや、復活しつつあるようです。何か草の切れ端みたいなものが浮いているので確認すると、ホソバミズヒキモでした。
ヒルムシロ科の、沈水~浮葉植物です。
元々、ある程度水深のある箇所に群落を作っていました。こいつも強いので、浅いところから復活しそうですね。
水棲生物の方は・・・まぁ、調べようがありません。水を抜いたうえ浚渫しているので、魚はまず間違いなく全滅でしょう。堤から見える範囲を観察した限りでは、マツモムシ多数。トンボヤゴも見られます。こういう目立つ水棲昆虫が多数ウロついているということは、ブラックバスは居ません。(今後考えの無い者が入れないことを願います。)あとサカマキが少々。農機具にでも付いてきたんでしょうね、元々居たのではなさそうです。まぁこんなもんかと思っていたら、終齢のイトヤゴが居ました。
クロイトトンボです。
今では羽化時に登る草もありません。
いや~、人間の活動によるカタストロフは凄まじい。経済活動のために破壊の限りを尽くし、生き物が探しても見当たらなくなるほど減少すると、大金をつぎ込み罰金を科してまで保護を叫んだりする訳です。本来の生息環境を知らずに、田園に広く分布しなっくなったからといって、メダカが絶滅危惧種なんておかしいと思います。
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中流域で無理やり水域整備しても移入生物を阻止できず、維持は困難です。源流域にビオトープを作って維持すれば、基本的には流域全体の最適化に繋がると考えています。破壊されても再び環境が戻れば、上流から供給され自動的に最適化される筈です。