20日~21日で、一泊入院してきましたニコニコ


気管カニューレの長さを5ミリ短いものに変え、呼吸に異変が生じないか一晩病院で様子見して退院です!







疾患についてのマニアックな内容なので、興味のある方のみどうぞちゅー
(上の写真は入院とは関係ありません 笑)





猫しっぽ猫からだ猫あたま


正常な気管は、一周が80%の気管軟骨と、20%の膜様部といわれる平滑筋により構成されています。(下図左)

先天性気管狭窄症は、膜様部が欠如していて、気管軟骨がドーナツ状に一周している「完全気管輪」と呼ばれる状態になっている事が多い、気管の形成異常の疾患です。(下図右)





正常な気管は、首の角度によって膜様部が蛇腹のような動きをして気管の内腔を保ち、また大きい呼吸をしても膜様部が伸びることにより気管内腔を広くするなど、膜様部があるお陰で無理なく呼吸できるようになっています。

一方、完全気管輪は、もともと内腔が細い上に膜様部の柔軟な動きがないために、常に楽に呼吸ができるわけではないのです。
私たちが細いストローをくわえてそこから呼吸しているような感じだそうです。

風邪などを引いて気管粘膜が腫れると、重症の場合窒息して命を落とす例もあります。




で、なったんの場合。



狭窄は長い範囲に及び、しかも気管の一番奥に肺動脈が巻き付いて走行している「肺動脈スリング(下図右。左は正常)」を合併していたため、その部分の気管の成長が妨げられ、更に細くなっていました。
気管狭窄は、狭窄の範囲が長ければ長いほど、また狭窄位置が深ければ深いほど重症と言われているので、なったんはまさに重症例です。







更に「心内膜床欠損症(房室中隔欠損症)」という心疾患も合併しており、心臓の中の左右を隔てる壁に本来無いはずの穴が空いているせいで肺動脈の血流量が増加し、肺動脈は太くなっていました。
つまり余計に気管を締め付けていたということです。

疾患に気付いた生後3週の時、肺高血圧に肺鬱血。
すでに呼吸不全と心不全の状態でした。



まずは心臓の穴を塞ぐ「心内修復術」と、左肺動脈を切って正常な位置に縫い付ける「スリング解除術」の同時手術を緊急で行い、その二つは根治しています。



それで、残るは気管の問題。



その完全気管輪をバルーンカテーテルを使って奥の方まで無理矢理拡げました。



一度目は生後4週。
心臓と肺動脈のオペから1週間後。
気管が細くてかなり浅い位置までしか挿管できていなかった上に、気管が細くて排痰が自力で全くできず、抜管の目処が立たなかったため。
この際、気管輪は全周性の軟骨で膜様部のように伸びたりすることはないので、バルーンによって気管に亀裂が入り(気縦隔)、漏れた空気が皮下を通って首や顔や頭が空気でボコボコに腫れ上がるという事態に(皮下気腫)。
そもそも細い気管にバルーンを入れ、その位置で膨らませる事自体かなり大変だったそう。
細くて膜様部がなく拡がらない気管なので、バルーンの方が逃げてしまって相当苦戦したと。
しばらくは気管内の出血により窒息しかけるなど、まさに命がけ。



二回目は5ヶ月。
呼吸の狭窄音がひどく、泣いたら息が出来なくなって失神、徐脈に陥り心臓マッサージ。
挿管を試みるも浅い位置までしか入らず、CTによって気管の再狭窄を認めたため、緊急でバルーン拡張。
このときはわりとスムーズに拡張ができる。



三回目は6ヶ月。
泣く度に意識が遠退き白目になったり、冷や汗びっしょりでSpO2が70%くらいに下り、見た感じかなりしんどそうで挿管することに。
しかしまたもやチューブが浅いところまでしか入らず、バルーンをすることに。
このときは両方の肺が破れる緊張性気胸になり、全く空気を取り込めない状態に。
すぐに処置をしなければ数分で命を落とす緊張性気胸。
救急部の先生が飛んできて、両方の胸にチューブを突き刺して換気。
ほぼ心停止からの蘇生です。



こんな状態で、また抜管したとしても同じことを繰り返すのは目に見えていました。

先生たちも、もう抜管するのは怖いと。



兵庫県立子ども病院は、気管狭窄の外科治療では日本有数の症例数があることで有名です。

当時の主治医がそこの先生に相談してくださり、単なる狭窄だけではなく、バルーンで拡げたことにより気管軟骨が脆くなって「気管軟化」と言われる症状である可能性を指摘されました。

例えて言うなら、ストローの袋(ビニール製)の両端を切って細長い筒状にし、勢いよく息を吸うとペタッと袋が潰れるイメージ。

泣いたときなど呼吸の陰圧で気管が潰れてしまう症状です。

言われてみれば、呼吸が出来なくなって意識を失っていたのは必ず泣いたときでした。
気管軟化の典型的な症状です。



それならば、潰れないように挿管チューブが入っていれば気道確保はしていられる。

しかし、挿管は長期的にするものではないし、動かないように鎮静して寝かせておく必要があるので、その代わりとなる気管切開に至りました。

もうこれ以外道はなかったという感じです。



きっと気切していなかったら今ごろ命はないか、あっても重度の脳障害を負っていたのは避けられなかったと思います。

というか、今までこれだけの事を経験して今こんなん→

な事自体奇跡で、普通これだけ重症ならとっくに生きていないレベルだそうで滝汗




気切してからは、かなり深い位置まで気管カニューレを入れておかなければならない状態で、ちょっとでも浅くなればその先の気管が潰れてしまい、逆に深くなりすぎたら気管の一番奥に突き当たってしまい、どちらも換気ができない状態に。

カニューレの深さの「OKゾーン」は、たったの2~3ミリの範囲のみで、かなり神経を使っていました。

特注の7,3センチ長さのカニューレを入れ、カニューレと首の間に挟むガーゼの枚数は0,5枚単位で頻繁にカニューレの深さを調整している必要がありました。




それが、だいたい今から1年~1年半前くらい。



約1年前に退院してからは、徐々に気管が丈夫になってきて潰れにくくなり、半年前から、何度か一泊入院して5ミリずつカニューレを短いものに変えてこれています!!

今回の入院で、カニューレの長さは5,0センチになりました!!



一般的なカニューレの長さは4センチ。
あと2回に分けてカニューレを4センチまで持っていけば、もうそれ以上短くする必要は無くなります。

次はGW後、その次は夏頃に短くできそうです爆笑



そこまで来たら、今度はカニューレの太さを徐々に細くしていきます!!

今使っているカニューレの内側の直径(内径)は4,0ミリ。

これを、3,5ミリ→3,0ミリにして、最終的にカニューレ卒業を目指します爆笑




気管内をファイバースコープで見てみると、



左右の気管支に分かれるところ(気管分岐部)は潰れた形になっているが、呼吸には支障なし。

気管壁が所々白っぽくガタガタしているのは(上の図では水色で表示)、過去にバルーンで傷ついた、闘った痕。

画像で見ると7~8時の方向に、泣いたりなど強い呼吸で大きく盛り上がる、膜様部のような可動部分があることが判明。
バルーンで軟骨が裂けた後にくっついていないからなのか、はたまたそもそも本当に完全気管輪だったのか❔
その真実は闇の中だけど、今現在はおそらく完全気管輪の状態では無い可能性が高い。
完全気管輪だと、軟骨が成長して気管の内腔が広くなることは結構難しいと言われているので、そうじゃないならやっぱり体格の成長に伴って気管も太くなることは十分期待できそうですニコニコ





次に、カニューレを抜いた状態で、気切孔あたりをじっくり診察。


気切孔を正面から見てみると↓


横から見た図↓





こんな感じで、やっぱり肉芽と思われる白いモノが目視で確認できます。



カニューレを細くすると、その分カニューレと気管壁の間に隙間が生まれるので、そこを息が通り抜け、つまり声門声帯を通るので声が出せるようになりますニコニコ



しかし、なったんのこの肉芽の位置は、せっかくカニューレを細くして発声を促そうとしても、呼吸の通りの妨げになってしまって意味がない可能性も大。



そこで、どこかのタイミングでこの肉芽らしきものを対処しなければなりません。

やるとしたら全身麻酔下でのレーザー照射で2泊くらいの入院になるそうです。



まずは夏にかけてカニューレを4センチ長さまでして、その後すぐに細さの調整に入るのか、または4センチ長さにして太さは今のままでしばらく行くのか、肉芽の除去はどのタイミングでやるのか、それは今後の様子を見て決めていく事になりそうです。

本当なら、声を出そうとする事が増えている「今」、少しでも発声しやすくなるようにすぐにでもカニューレを細くしたいところですが、もともと気切した当初は内径3,5ミリ細さのカニューレを使っていて、痰が固くなりやすい体質で一年以上前の入院中にも何度か詰まらせていたため、4ミリに太くしたのです。

カニューレに痰を詰まらせて窒息してしまったら元も子もないので、すぐに細くしようとはならないようです。



新しい長さのカニューレにして呼吸は全く問題無さそうで、無事入院翌朝に退院してきました爆笑

カニューレの先端が気管の中にぶつかる位置が変わった刺激のせいなのか、痰が多くて結構吸引祭りではありますが(笑)



普段と比べて少しでも気になるとか、様子が違うとかあればいつでも電話して、診てみて何も無ければそれはそれで良かったってだけだから!
と、先月なったんの呼吸の音が気になって時間外に診てもらったけど結局なんともなかったという出来事のフォローとも取れる言葉をかけてくれ(笑)、オジサン先生の優しさにただただ頭が下がります笑い泣き




なったんの入院の前日からICUに異動になってしまった元受け持ちの仲良し看護師さんも日勤終わりに遊びに来てくれたり、師長さんと色々語り合ったり、おそらく会えるのは最後であろう循環器の主治医と写真を撮ってもらったり、壁に貼ってあったワンワンにチューしまくってそれを看護師さんたちが動画におさめていたり…(笑)
いつも通りに楽しく過ごしていましたデレデレ



私は珍しく鼻づまりが酷くて頭痛がして辛かったですガーン




長文にお付き合い頂きありがとうございましたニコニコ