えー、甘いもの、これは大変なもので御座いますな。
お侍さんがあんみつが怖いってんで、通りの真ん中で、
「あんみつが!あんみつが怖いのでござる!」
「かりんとうはいかがですな」
「あんみつが!あんみつが怖い!」
「ではようかんは」
「あんみつが怖いぃ」
「柏餅は」
「あ、あんだけでも怖い怖い!」
「うぬっ貴殿、柏と餅をそでにするか!そこへ直れい!」
「ああっ柏も餅も怖い!」
「じゃああげない」
(「甘味悲話往来」より)
…ってんで、何にも食べられなかったそうですな。
もうこうなった日には手に負えないもんで、甘味処に出かけた折には、
「あー許せ」
「いらっしゃいまし」
「草団子はあるか」
「ございますけれど」
「怖いのでな、いかほどじゃな」
「へえ、、?一串五文でございますが」
「それはだいぶ怖いではないか」
「へっ?」
「一文なら怖くないであろう?」
「えー団子の切り売りはちょっと手前どもでは」
「怖いか怖くないか申せ!」
「昨日売れ残ったのはだいぶこわくなっておりますが」
「ほほう、それはいかほどじゃな」
「では三文でいかがでしょう」
「どれどれ、あーなんじゃこれは?」
「昨日の残りのこわいやつで」
「三文か(…さほど怖くないな、しめた)」
「へえ」
「では十五文分もらおう、払うぞ」
「へい、ありがとうぞんじます」
「もぐもぐもぐ」
(「吝嗇大食評判記」より)
…ってんでこわい団子をしこたま食べて腹をこわしちまって、おお怖いなんてことがあったようで。
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適当ぶっこくな( ‘д‘⊂彡☆))Д´) スパーン
以上、古き江戸での小粋な妄想を記録いたしました。どっとはらい。