医療の最前線に立ち、誰かの命を救う日々は、想像以上の責任感とプレッシャーが生じるものだ。そんな医療従事者は、急に糸が切れたようにやる気が失せ、疲労感や無気力に襲われる「バーンアウト(燃え尽き症候群)」のリスクと隣り合わせといわれている。

その大きなの要因として、感情労働のストレスが挙げられる。自らの不安や悲しみを抑え込み、常に冷静で温かな対応を求められる医療現場は、自覚している以上に心を削り取るものだ。

特に、避けられない死の場面に立ち会うこともあり、人である以上、大きく心が揺さぶられるものだ。どれほど経験を積んだプロフェッショナルであっても、目の前で失われる命や、苦しむ家族の姿を目の当たりにする場面では、ショックが大きくなる。

バーンアウトは責任感が強い人ほど、起きやすいとされている。自分の弱音を許さず、限界まで走り続ける傾向にあるからだろう。

こうした極限の状態が続くことで蓄積される精神的負担は、目に見えないため厄介である。バーンアウトが重症化すると、回復まで数カ月~1年以上かかることもあるため、心が枯れ果ててる前にセルフケアをすることが大切だ。

セルフケアの在り方として意識してほしいのが、自分自身の心の揺れを否定せず、正当な反応として受け入れることである。勤務を終えたら意識的に仕事スイッチを切り、一人の人間としての時間を取り戻すことが欠かせない。

また、日々の小さな変化に敏感になることも重要だ。眠りの質が落ちたり、好きなことに興味が持てなくなったりしたときは、心が休息を求めているサインといえる。

医療従事者として、高いパフォーマンスを維持したいのなら、一人の生身の人間として、自分を慈しむ時間を持つ意識が必要である。そこで生まれた余裕が、過酷な現場を生き抜くための原動力になるのだ。

「人を救いたい」という強い志を持って看護師となった人は数知れず。しかし、看護現場は甘いものではなく、越えなければいけないハードルがあることは紛れもない事実である。

病気やケガに苦しむ患者の命を守る現場は常に緊張感が張りつめている。過信や慢心、気のゆるみなどが一切許さない現場であることは誰にでも容易に推測できる。

そんな厳しい現場に耐えることができず、退職や転職などを決意する看護師が多いのは、業界では有名な話だ。病院やクリニックなど、病院の規模を問わず抱えている課題といえるだろう。

そんな中、相次ぐ人材の流出に歯止めをかけようとする動きも活発化してきている。やはり、現場を支えるのは人材であることを考えれば、当然のことともいえるのではないだろうか。

その事例として、医師や薬剤師などを交えた勉強会や講習会などの開催をするなどして、看護師としてのスキルやノウハウを磨き上げる取り組みが行われている。これらの取り組みについては、単なるレベルアップやボトムアップにつながるというだけでなく、コミュニケーションの場としての役割も果たしているのだ。やりがいや夢、希望などに満ちあふれた人材を流出させないためにも、こうした取り組みは有意義なことである。

また、毎日の仕事の中での悩みや心配事の相談に乗ることを目的とした相談窓口の設置などを積極的に行う診療機関も増えており、徐々に改善策が講じられるようになってきている。精神不安や精神ストレス、心の闇などに苛まれる人が後を絶たない医療現場にとっては、何とも心強い動きとして注目を集めている。

看護師の人材を確保するには人材の流出を防ぐだけでなく、看護師を目指す人を増やすことも大切だ。そのためには、看護師という仕事のやりがいや尊さを広く大勢の人に伝えていく必要があるだろう。看護師としてのやりがいを伝え、さらに病院全体が働きやすい環境を作っていくことが、人材不足を解消するカギになるのではないだろうか。看護師のやりがいについては、以下のサイト《http://kangoshi-yokatta.com》にまとめられていたため、気になる人は読んでみるといいだろう。