打たれない投手をどう打つか。
日本シリーズ最大の見どころは、
第2戦の先発が濃厚な楽天の絶対的エース・田中を
阿部、村田ら巨人打線がどのように攻略するかとなる。
シーズン無敗で一見隙のない田中だが、ボールカウント別成績に一つのヒントがありそうだ。
田中の今季被打率は.218。
パの規定投球回到達者12人では、金子(オ)の.210に次ぎリーグ2位に低い数字だ。
初球の被打率に限ると、.322で12人中8位。
0ストライクの被打率も.345と高い。
これが1ストライクになると.246、三振が含まれる2ストライクは.144と大きく下がっていく。
その下がり幅は他の投手よりも顕著だ。
今季打たれた本塁打も、6本中5本が0ストライクから。
追い込まれて決め球を投げられると打者はお手上げだが、
早いカウントではそれほど他の投手と大きな差は見られない。
田中は今季の2度を含め巨人戦通算6試合に登板し4勝2敗、防御率2.30。
カウント別では0ストライクから順に.447→.304→.090と、
さらに傾向が強くなる。象徴的な試合が、10年6月6日の交流戦。
初回に1番の坂本が初球を打ち、東京ドーム天井に当たる二塁打。
2死から5番の阿部がやはり初球を捉え、左翼へ3ランを運んだ。
巨人のチーム初球打率はリーグ5位の.304と、
初球打ちは必ずしも得意な戦術ではない。
また早打ちは凡打になると、攻撃が淡泊になる危険性も伴う。
際どい球まで無理に振るのではなく、
田中が勝負に来る前に少しでも甘い球を確実に打つことが求められる。