〇楽天3-1西武●(16日・西武)
味方打線に2点のリードをもらい、8回1失点でマウンドを降りた
楽天の田中は、抑えのラズナーが九回を3人で締めると、
ようやく表情を緩めた。「みんなの力です」と感謝したエースは、
1年近く無敗のまま21個の白星を並べ、プロ野球の歴史を塗り替えた。
何度もピンチに直面したが、勝負どころでギアを上げる
投球は、いつも通り。
初回、いきなりの連打で無死二、三塁とされたが、
栗山をスプリットの連投で一ゴロに、浅村は見逃し三振、
秋山を二ゴロに封じ込めた。四回1死三塁のピンチも切り抜けた。
西武の安部理打撃コーチは
「スプリットがベース上でいい高さから落ちる。
分かっていても対応できない」
と舌を巻いた。
「今日、どのボールが使えるかを考えながら投げていた」と田中。
引き出しの多さも白星を引き寄せる要因だ。
一方、先制点をもらった直後、
六回2死二塁から浅村に左前適時打を許したのが、
走者を背負ってから唯一とも言える反省点。
自身20イニングぶりの失点に
「ボールでいいとインコースを狙ったがストライクに入ってしまった」と悔いた。
それでも後続を断ち、味方の援護も得て稲尾さんらの連勝記録を更新した。
半世紀以上前、稲尾和久投手は先発、救援とフル回転し、
わずか2カ月半で20連勝した。
現在は先発、中継ぎ、抑えと投手の分業制が確立しており、
両者の優劣は比較できないが、
田中は昨夏から1年間、勝ち続けるだけの準備をし、
常に高いレベルを保ち続けた。
「俺に(田中の)実力があってもできんよ」と星野監督。
そこに、最大の価値がある。