ヤクルト2―1巨人(29日・静岡)
これ以上ないレーザービームだった。
1点差の5回2死二塁。
高橋由は上田の左前安打で猛チャージをかけた。
流れるような動きで、本塁で待つ阿部へ好返球。
二塁走者・山田を三本間の挟殺プレーに持ち込み、失点を防いだ。
草薙球場が“由伸コール”に包まれた。
4月4日のDeNA戦(横浜)で走塁中に左ふくらはぎを肉離れ。
1軍復帰戦は「7番・左翼」でスタメン出場した。
草薙球場での試合は、11年4月26日のヤクルト戦の守備で
フェンスに激突して左ろっ骨を骨折して以来。
“因縁の地”での復活に燃え、「打撃より不安」と言っていた
守備で結果を残した。「勝てなかったから何とも言えない」と
表情は晴れなかったが、原監督は「いい形で戻ってきてくれた」と目を細めた。
初の肉離れによる戦線離脱だった。
「ちょっと良くなったと思ったら停滞したり。その繰り返しだった。
(25日のイースタン・リーグの日本ハム戦で)1試合出た時は
体がパンパンになった」と苦笑した。もともと太りやすい体質。
リハビリ中の夕食は炭水化物抜きダイエットで意識的に食事を減らし、
ベスト体重87キロをキープした。
打撃の苦悩も乗り越えた。
フリー打撃を再開した5月中旬。「軸足(左足)を使っている感じがしない。
かばっているのかは分からないけど」。
無意識のうちに左足をかばってしまい、下半身主導の打撃ができなかったが、
この日の5回先頭に小川のフォークを拾って中前安打。
復帰2打席目でHマークをともした。
約3か月ぶりの1軍舞台。
同点の6回2死三塁での二ゴロを悔やんだ。
「(小川と)1回目だし、相手どうこうではない。まとめて言うと、
チャンスで打てなかった」。完全復活とはいかなかったが、
チームに力強い由伸が戻ってきたことは確かだ。