第85回選抜高校野球大会第8日(浦和学院11-1山形中央、29日、甲子園)
主砲の一発で浦和学院打線に勢いが戻った。
1点差に追い上げられた直後の六回。
先頭の4番高田が左翼へ本塁打をたたき込むと後続も続き、
一気にこの回3点。ベスト8への道を切り開いた。
「俺が取り返してやる」-。五回終了後のグラウンド整備中、
直前に打たれてベンチで肩を落としていた先発小島に、
高田は約束した。「とにかくフルスイングしようと思った」。
有言実行の本塁打で粘投の左腕を救い、一塁を回ったあたりで右手を突き上げた。
意地もあった。昨秋の明治神宮大会後、
主将から外された。怒りっぽい性格が災いし、
気合が空回りしていたのが原因という。
森監督から告げられたときは「本当に悔しかった」。
それでも「チームの柱になる」という思いを胸に、気持ちが折れることはなかった。
関東大会では4割超の打率を残し、史上初の3連覇に貢献。
そんな主砲のバットに触発されるように、この日チームは
六回以降9得点。起爆剤となった高田は快勝にも
浮かれることなく「ここから先はさらに厳しくなるので、
しっかり集中したい」と気を引き締めた。