来年3月に行われる野球の国・地域別対抗戦のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場する日本代表「侍ジャパン」。悲願の3連覇を目指す上で重要なカギを握るのが「守護神」の存在だ。代表候補では16人の投手が選出されたが、絶対的な守護神と呼べる投手が選ばれていないのが実情。本大会に出場する投手陣の中で、「守護神」の座をつかむのは果たして誰になるのか。
2連覇を達成した2009年の第2回大会。韓国との決勝戦で最後の打者を空振り三振に仕留めたのは、本来は先発投手であるダルビッシュ有(現レンジャーズ)だった。
WBCでは球数制限という独特のルールが存在するのに加え、短期決戦ではコンディション重視の起用も求められるだけに、投手起用では指揮官の「決断」が重要になる。
来年3月2日から始まる1次ラウンド(ヤフードーム)では、ブラジル、中国、キューバ代表との対戦に臨む侍ジャパン。12月4日に行われた代表候補34人の発表では、山本浩二監督が投手起用の“青写真”を披露した。
「球数制限があるので、1試合に2人(の先発を起用)というのはある。中4日で投げることになるので、そのあたりも考えると、3戦で計6人ということになる」
ただ、抑えに話題が及ぶと指揮官は言葉を慎重に選んだ。
「普段は先発の人も後ろに回る? それは今後、ピッチングコーチとゆっくり。日にちはまだあるから」
山本監督は今年11月に産経新聞のインタビューに応じているが、その中で守護神の筆頭候補に挙げていたのは田中将大(楽天)だった。
「コントロールが良く、落ちる変化球がある。抑えの条件を持っている」
ただ、インタビューを行ったのはダルビッシュや黒田博樹(ヤンキース)ら大リーガーが不参加を表明する前の時点。状況は一変しているだけに、指揮官が慎重になるのも当然の判断といえる。
今回選出された16人の中で、先発、抑えの両方を経験しているのは、牧田和久、涌井秀章(いずれも西武)、山井大介(中日)の3人。中継ぎ、抑えの専門では、山口鉄也(巨人)、浅尾拓也(中日)、森福允彦(ソフトバンク)、今村猛(広島)らがおり、この中から守護神を選ぶことになりそうだが、アッと驚くサプライズで新たな「守護神」を指名する可能性も。いずれにしても、侍ジャパンの命運は「守護神」が握っている。