12年ぶりに前半戦で組まれた琴欧洲・鶴竜の大関戦。勝ったのはカド番の琴欧洲だった。いつもと違う取組に「『もう大関戦』という気持ちはあったか」と問われ、「そうだね」と本音を漏らした。
琴欧洲に白星への執念を見た。左上手をつかむと投げで揺さぶり、身長で16センチ低い相手の胸に頭までつけて出た。鏡山審判部長(元関脇・多賀竜)は「気持ちが出ていた」と評価した。
大関戦は通常、後半に組まれるが、勝ち越し負け越しが見えてからの対戦になる。一方がカド番となれば、星勘定が頭をよぎりかねない。それを承知の上で、鏡山部長は場所前から「誤解されたくない」と前半の大関戦を公言していた。7日目にも鶴竜と、カド番の琴奨菊との対戦があり、鏡山部長は「終盤は元気のいい力士と組みたい」と、活気ある勝負を期待する。
その12年前、00年九州場所6日目の魁皇・出島戦は魁皇が勝利。両者カド番ではなかったが、敗れた出島(大鳴戸親方)は、その場所で13勝した幕内下位の琴光喜にも敗れるなど、5連勝後に4勝6敗と調子が狂った。「終盤に調子のいい人と当てられ、あの敗戦は痛かった」と振り返る大鳴戸親方。鶴竜は「いずれは当たるから」と平静を装うが、本来の「千秋楽まで優勝争いをする」という使命を果たすには、厳しい場所になりそうだ