10月28日は速記の日
日本では、明治維新後、西洋の速記が欧米文化の一つとして紹介され、日本語速記法誕生のきっかけとなりました。
1882年(明治15)9月19日、田鎖綱紀(たくさり こうき)が、ピットマン系のグラハム式に基づいて「時事新報」紙上に「日本傍聴記録法」を発表しました。また、同年10月28日、東京で第1回講習会を開きました。これを記念して、日本速記協会は10月28日を速記の日と定めました。
この速記法は当時の人々に鮮烈な印象を与え、田鎖綱紀は伊藤博文から「電筆将軍」の称号を贈られたといいます。
その後、講習会修了生の若林蔵、林茂淳らにより田鎖式符号に改良が加えられ、速記は実用化に向けて大きく踏み出します。
1883年7月、改進党系の「郵便報知」と自由党系の「自由新聞」の間で、演説会記事の正誤をめぐる紛争がありました。若林は報知社の依頼を受け、自由新聞社応接室で行われた問答を速記し、その日のうちに文字化した原稿を手渡しました。これが速記実務の始まりです。