喜び分け合う「銅」=和田、会心スパート
し烈な3番手争いを和田が制した。ガイドランナーの中田さんから「並んだぞ」と声が掛かり、ケニア選手
の息遣いを感じながら銅メダルへ足に力を込めた。
残り300メートルでスパートをかけ、自己記録を15秒も縮めるレースはイメージ通りだった。
「銅に届いた。最後は理想的でした」。喜びを分け合った中田さんをはじめ、練習に付き合ってくれた伴走
者など多くの人の顔が浮かんだ。
ラガーマンだった高校2年の冬に視野が徐々に狭くなり、20歳で視力を失った。縁遠くなったスポーツへ
戻るきっかけは、ジョギング。すぐに長距離の資質があることに気が付いた。競技を本格的に始めてから
わずか6年で、メダリストにまでなった。
視覚障害のランナーは練習にも伴走者が欠かせない。社交的な和田はランナー仲間を通して知り合い
を増やし、常に頼める伴走者が20人くらいいるという。スピード走では学生、距離走のときは市民ランナー
と走り、「今では、ほぼ毎日練習できる」。それぞれのパートナーとの並走で重ねてきた鍛錬の日々が、初
舞台で実った。