自転車の藤田、銅の重み実感=トラック種目の悔い晴らす
悔しさをバネにした。自転車の男子個人ロードタイムトライアルで、藤田が念願のメダルをつかんだ。
前回北京大会で二つの銀メダルに輝いたトラック種目で、今大会はメダルなし。「自信が揺らいでいた」
弱気になりかけた自分に勝った。攻めのレースに徹して3位。「歯を食いしばった。まだ信じられないが、
メダルを取れてうれしい」。険しかった表情が一変した。
選手が1分おきにスタートしてタイムを競うレース。9番目にスタートすると、前半から飛ばした。後ろを走
るサポートカーから高橋仁監督が叫ぶ。「前の選手の背中が見えるぞ。追い付け」
上り下りが激しいコース。ペースを乱さないように気をつけながら攻めの姿勢を保ち続け、「限界に近か
った」。残り1キロ付近で1分前にスタートした選手を抜き去った。
トライアスロンに熱中していた大学2年の夏、交通事故で両膝から下を失った。だが、スポーツは諦めな
かった。事故後、トライアスロンの延長線上で自転車競技を始め、北京大会で計3個のメダルを獲得。こ
れで満足せず、中長距離の練習を採り入れ持久力などを養い今大会に臨んだ。
「ずっと期待されていて、やっと結果がついてきた」。ロード種目のメダルの色は前回と同じ銅。だが、苦
しんでつかんだ今回の方が手のひらの中で重く感じた