あけましておめでとうございます。
ちょっとブログ更新が滞っておりますが、無事に生きております。


2018年となり早や一週間経ちました。
成人の日を迎えた一昨日、少し腹立たしい一件がありました。

晴れ着の販売やレンタルを行っていた「はれのひ」という会社が、成人式本番当日にバックレたんですね。

事の経緯はすでに大きく報道されているので、皆さんご存知の通り。
姿を隠した社長や幹部に非難の声が上がっていて、おそらく警察沙汰になります。

とにかく成人式という一生に一度の「晴れの日」に裏切られたお嬢さんたちがかわいそうです。

同業者の救援で晴れ着姿になれた人もいましたが、大半の人が想像していた楽しい成人式を迎えられなかったはずです。

取り返しがつかない卑劣な行為におっちゃんは怒っているわけです。


 

さて、一方で今回発生した事態について。

詐欺に近い計画倒産だとか、言われてますね。

もちろん被害に遭われた新成人たちのことを思えば、少し前から経営の行き詰まりについて通知してあげていれば、他の手立てもできたはずで、辛い思いをせずに済んだかもしれません。

しかし、実際には社長たちは何にもできなかったが本当のところでしょう。

詐欺であろうが、詐欺でなかろうが、あんまり状況はかわらなかったんじゃないか、

ってことです。
 

 

経営はすでに破綻している。
しかし多額の債務が残っている。
さらに債権者は法人だけでなく、一般消費者も多く含まれる。

何とかならないか。
いや、もうどうにもならない。
 

だったら、少しでも金目の物を処分してしまおう。
 

もちろんそれは自分のために。

でも、会社には現金もない。
あるのは着物や小物などの商品、あとは客から預かっている他人の晴れ着。

売っちまおう。
お金に換えよう。

お金に換えたら逃げよう。


経営が苦しく資金繰りが破綻寸前の会社というのはこういうもんです。

自分の会社がもうダメだ!なんて言っちゃたら、あっという間に債権者たちがやってきて、お店にある着物や小物など金目になりそうなもんは持ち去られたでしょう。

どっちにしても結果はあまり変わらなかった気がします。

今回の件もそうですが、昨年の「てるみくらぶ」の件も、被害を受けているのが一般消費者であったというのが、「可哀そう」度合を増大させているんですね。


今回、前金を支払って予約していた人たちは債権者となります。
代金に値する商品を入手する、もしくは相当するサービスを受ける、という契約を

しているわけですね。

それが契約が履行されるまで、債権者と債務者となります。

(こんなニュアンスです。)

そして債務者である取引先が破綻してしまったら、債権者に被害が直撃します。

これは今も昔も同じ。

日本では毎日のように数億円規模の負債で倒産する会社があります。
債権を持つ零細取引先は代金を回収できず路頭に迷い、連鎖倒産したりもします。

 

しかし取引先破綻リスクを回避する方法もあります。

信用情報ですね。

日頃から情報網を貼っておいて、事前に何らかの対策を打つというものです。

法人間の取引では常に破綻リスクを予想して情報網を張り巡らせているわけです。

信用情報会社からネタを買う場合もあるし、同業他社間で情報を共有している場合もあります。

危ない先とは取引を中止したり、縮小させていったりするわけです。

いきなり中止すると相手の寿命をいきなり止めたりする可能性もあり、それが自分の

損害にもなるので、微妙な匙加減で行っていくんです。

 

ま、商売とはそういうもんです。

 


いざ破綻するとその債権内容がさらされることになります。

 

今回のハレノヒは着物や小物の代金の未払いも数千万円あるらしい。

2016年段階で取引停止をしている会社もあるようです。


おそらく銀行も相当な融資をしているはずです。

一方ですでに逃げ切った先もあるんでしょうねぇ。



ここでよく考えてみてください。
 

代金の遅延や未払い、テナント料の支払い遅延、融資金の返済などですでにはれのひが問題で抱えていることは、相当以前から業界の噂になっているはず。

すべて相手がいることですからね。

このハレノヒの取引銀行、着物や小物の納入業者、テナント契約先などは、相当以前から彼らの破綻状態を知っているはずです。

「あの会社は危ないから気をつけなよ。」

という情報がすでに業界内を駆け巡っているはずなんです。

昨日急遽助け舟を出した同業他社たちも口には出さないけど、「ああ、やっぱり」という感じだったんではないでしょうか?

数か月前からすでに商材である着物の現金化処分などが始まっていたら・・・。



いつ爆発するか?

もっとも危険性が高いのが、成人式当日ですわな。

結婚式や祝賀会などの日々の単発需要にはギリギリで対応できたとしても、たった一日に需要がもっとも集中する成人式当日は誤魔化しが効かない。

レンタルするはずの着物が手元にないかもしれないし、かき集める着付けスタッフに

支払うお金もない。

今回の一連の問題と発生に至る流れ、これは業界人なら簡単に想像がついていたことだと思うんですよね。

業界事情に疎い、一般消費者の「まさか」ほどではないはず。

 



私が言いたいのは、だから被害者は泣き寝入りするしかない、という意味ではないんです。

銀行だって、取引業者だって、関連業界の人たちは、いつかこうなることは知っていた、ということです。

当日救済に走ってくれた同業他社だって何となく知っていたはずです。
もちろん緊急で救済対応を行ってくれたことには大いに感謝すべきです。


業界全体がこの事件で一般債権者と一緒の被害者側に回って、信用回復に努めるような様子を見せているのは、ちょっと、こう、ちょっと、背中がむず痒い気がするんですがね・・・。