先週だったと思うんですが、あのライザップグループに、逆のれん買収、いや違った、グルー

プ傘下入りしたジーンズメイトが再出発に向けて動き出した、という記事を見ました。

ユニクロ出身者のキーマン二人が軸となって、新PBブランド「メイト」を展開するらしい。

もちろん中心は従来から主力アイテムであるデニムパンツ。

素材や縫製、細かいディティールにこだわり、履き心地の良さを追及する一方、値段はユニク

ロよりも高くはなったが、ナショナルブランドより安く抑えた、とのこと。


正直言って、一体何をやっているのかよくわからん・・・。


ピーク時に250億円ほど売り上げがあったジーンズメイトが、今では100億以下に低迷して
いるのです。

半分以下になっているわけですね。

直近の月間売上が昨年並みに回復してきた、ということであるが、それは既存の在庫を何割

も値引きしたセールを打ち出して処分していたからで、プロパーの新作商材で稼いでいたわ

けではなかろうに。
 

そして、このアパレル大不況の真っ只中に新らしく打ち出したのがこのPBブランド「メイト」。

今どき誰がジーンズの新しいブランドを歓迎するのだろうか?

こだわったというディティールに特に目新しさもなく、普通の中級デニムパンツと何ら変わると
ころはない。

高い給料を出してユニクロでの成功体験者を雇ったにもかかわらず、打ち出した第一手がこ

れでは物足らなさすぎる。

辺りを見渡してもプレーンなデニムパンツをはいている女子も男子も見当たらない。

誰に買ってもらおうとしているのか、その一番大事なところが不明。


モノつくりにこだわる人よりも、販売や宣伝に長けた人材を揃えるべきでした。

これまでの彼らのジーニングカジュアル一色な品揃えが、まったく市場の需要とマッチングし

ていないということがはっきりしているわけですから、斬新な方向転換が必要なはずなんです

ね。

何となくECサイトやオンラインショップの見てくれはテコ入れされているような気がします。

ようやく競合他社の背中が見えたぐらいの改革が進んだぐらいではないでしょうか?

そして残念ながら「ジーンズメイト」という名にブランド価値はすでにありません。

このあたりにも大ナタを振るうべきタイミングだと思います。



すでに市場では他社からの仕入れ商品だけで、利益を残していくのは無理な状況です。

死筋だけでなく同種商材のバッティングによる売れ残り処分や繰り返されるセール対応など

で、利益率が低くなっている中で、仕入れ値が割高な仕入れ商材だけでは生き残れないんで

す。

彼らのようなカジュアルウェアチェーンは、いつか値入のいいオリジナルPB商材を用意しなけ
ればならない宿命にあるんです。

最初から売っても売っても利益の出ない商材を並べるよりはいいのかもしれない・・・と。

ところがPBの一番おいしいベーシックゾーンをユニクロに完全制覇されている今、PBという
だけでなく、まったく別の味付けや趣向が必要です。

そこに使えそうなのが「ライザップ」ブランドだったのですが、最近はその名前が少しキワモノ
扱いされている様子で、スポーツブランドとしてもちょっと弱いですね。


おそらくライザップグループによるジーンズメイトの改革はだいぶ時間がかかりそうです。

他のグループ会社の改革もさほど進んでいない状況。

一般消費者に馴染みのあるジーンズメイトで早めに結果を出さないと、どこかでほころびが出

始めると一気にグループ全体に影響が出そうでヒヤヒヤします。

社長!がんばってね。