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お金だけではない将来への備え

 暮らしていくためには水、空気、食糧、医療、治安、消防など、必要不可欠なものがたくさんあります。現在は当たり前に存在しているように思えるもの、さほどの負担なくアクセスできるものが、将来はとても高額な費用負担を強いられるようになるとしたら、あるいはお金を払っても手に入れることができなくなるとしたら、個々の生活設計や運用はほとんど意味をなさなくなってしまいます。

高額な買い物「住まい」が病気を生む?
 遠い将来の話だけではなく、一生を左右するような高額のローンを組んで手に入れた住まいなのに、化学物質などによってアレルギー反応を起こして住めなくなった方もいらっしゃいます。また、アレルギーがあるため、シックハウス対策を施した住宅とか、健康住宅、エコ住宅と銘打ったものを建てたにもかかわらず、症状が良くならないこともあります。現在の建築基準法で定める基準は甘く、どんなに有害物質を使っていても基準さえ守っていれば「シックハウス対策済み」となってしまうからです。

 日本の住宅の寿命は平均26年と言われ、薄くスライスした木を貼り合わせた合板が建材にも家具にも多用されており、家一軒建てるのにドラム缶1缶分の接着剤が使われるそうです。その接着剤に含まれる有害物質が少しずつ揮発し続け、住む人の健康を蝕んでいきます。入居してすぐに症状が出なくても、長年にわたって蓄積された後、突然化学物質過敏症を発症するケースもあるようです。せっかくの住宅購入がお金と健康を奪ってしまったのでは元も子もありません。本当に住む人のことを考え、良質な住まいづくりを手がける事業者の情報を知ることは、マネープランと同様かそれ以上に重要なことだと思います。

一石何鳥もの天然住宅
 たとえば、「天然住宅」はすべて国産の無垢材を使い、可能な限り有害物質を排除した住宅を、一般のプレハブ住宅並みの価格で提供したいと取り組んでいます。日本は国内の森林を荒廃させる一方で、大量に木材を輸入し、海外の熱帯雨林を破壊しています。国産の木材を使い、山にお金が流れるようになれば、海外で環境破壊をしなくてもすみますし、間伐などの山の手入れを行うことが可能になります。さらには大工さんなど職人の伝統技能を継承することにもつながります。

 天然住宅の家は理論上300年はもつと言いますから、何世代にもわたって住み続けることができすし、無垢材の家は「夏は涼しく冬温かい」ので水道光熱費が抑えられます。売却に際しても値が下がらないよう、認証制度作成にも取り組んでいます。つまり、将来の家計支出を大きく減らす可能性があるのです。身体にもよいので医療費支出が抑えられるかもしれません。また、山がよみがえることにより、きれいな水や空気を生み出してくれます。

お金だけではない将来への備え
 私は将来に備えて、天然住宅を建てるときに融資をしてもらえるよう、「天然住宅バンク」というNPOバンクに少しずつ出資を始めました。また、多少なりとも自分の口にするものは自分で作れるよう、畑で野菜作りを習っています。私は自営業なので退職金はありません。退職金の代わりに、少ないお金でも健康的に心豊かに暮らせるノウハウを積み立てていきたいと考えています。

 そして、生活設計や運用が意味をなさなくなるような将来が来ないよう、政治にも目を配り、人々がつながって地域で暮らし続けられる仕組み作りに知恵を絞りたいと思います。

筆者プロフィール
内藤 眞弓

「日経マネーDIGITAL」FP快刀乱麻より (c)日経BP社 日経マネー編集部