なにごとも多少の加減 | 拾い読みあれこれ

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きょ~も適度に息抜き、よいかげん。ゆっくり歩いて遠くまで

なにごとも、多い少ないの多少の加減にあるということはよくわかるなあ。
健康によい食事もしかり。腹八分目、知ってるよ。
でも、つい、ほどほどを忘れてしまうのも人間か。後悔は後からするもの。二度と深酒するものかと思っても、またまた後悔は飲んだ後。
古人も、かく語りき。

「先(まづ)第(だい)一に愼(つゝし)むべきは食物(たべもの)なり、病(やまひ)は口(くち)から入(いる)と言(い)へば大食(たいしよく)をせず、大酒(たいしゆ)と美味(びみ)を省(はぶ)くがよし、さればとてあまり麁食(そしよく)ばかりするも身(み)の為(ため)ならねば、程々(ほどほど)にするがよし、総(すべ)て食物(たべもの)は身命(いのち)をつなぐの本(もと)なれども、飽食(くひすぎ)あるいは喰合(くひあは)せのわるきゆゑに、毒(どく)となつて頓死(とんし)するもあり、食傷(しよくしやう)して病(やまひ)の根(ね)となるもあり、されば朝夕(あさゆふ)の食事(しよくじ)も薬(くすり)となり毒(どく)となるも、多少(たせう)の加減(かげん)にある事(こと)じや、・・・」

(染崎八郎、『出世礎』、天保十五年)