幸運 | 拾い読みあれこれ

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きょ~も適度に息抜き、よいかげん。ゆっくり歩いて遠くまで

「・・・幸運の神に見舞はれたやうなもので、暫く呆然と夢みる心地でゐましたが、・・・さうかといつて、この世に代償を払はない幸運といふものは一つもない。・・・早晩何かの代償を要求せられずしては済むまい・・・」
(中里介山、『大菩薩峠』、第11巻、角川文庫1171、pp.36-37.)

幸運な人を見ることがある。幸運の神に見放され続けている人間としては、幸運には後から請求書がなんらかのかたちで届くに違いないと思うことにしている。しかし己が幸運を願う気持ちに変わりはないけれど。