「人間だから、根が生えてゐるわけではねえ、転んだところでどうもこれ仕方がねえ」
(中里介山、『大菩薩峠』)
人間だから時折失敗もする。転んだり、損を踏んだりして、我が身、焦れったくなることもあるだろうが、いずれ立ち直らなければならないし、それははやいほどよい。そんな折は、転んでも当たり前、次は転ばぬようにと気持ちを切り替えるのに、「根が生えているわけではない」との言葉はなぐさめになるか。
そうして人間社会で根を張り、それも深い根ざしとなるということがどういうことか、チト考えてみるのも有益かもしらん。