宗旨権次「何しろおれが宗旨で、何処ぞで一ぺい飲まうぢやねえか。市介「久しぶりだから付合ひてえが、何をいふにも一文無しだ。(黙阿弥、『花街模様薊色縫(さともやうあざみのいろぬひ)』)宗旨といえばご信心なさる教義を指すけれども、もっと俗に、自分なりの好みや趣味、やり方などを指すことがある。いずれも人様それぞれで、なかなか賑やかでよい。ここでは自分の好みなんで、どっかで一杯やろうというような意味だろう。しかしそう誘われても文無しでは付き合いできぬ。人付き合いもカネ次第。