だますに「・・・是を歎かず笑はず、人立(ひとだち)の所を放れて、兎角神ならぬ身なれば人間は騙すに手なしと囁(つぶや)きて帰るを・・・ (西鶴、『懐硯』) 騙すに手なしとは、騙すのに手口や技能・技術は要らんということだろう。物見高く見せ物や事件に集まり容易に騙される。まったくパンとサーカスというが、サーカスに騙されおるな。しかし、作中の若者のごとく、「歎かず笑はず」である。