「・・・其時分(じぶん)から見ますと今は誠に御辛抱でございます子。・・・
(松亭金水、『閑情末摘花』)
大方が先行き明るくなる実感をまだもてないでいるのではないか。身を縮込ませて、不安に耐えていれば、まことにご辛抱のていである。
思い返せば、景気のよかった頃もある。収入もよく羽振りもよかったか。それも過ぎたことで、そうした時節が戻ってくるとは思えない。
ましてや老残の身であれば、盛りの頃の記憶も薄れ、うらがなしさが募るだけ。
お国も個人も米びつの底が見え、末路にさしかかっているのかな。