長唄は唄方と三味線方の分業制で。

歌舞伎の音楽は、義太夫・清元・常磐津とみんな分業制。

つまり「弾き唄い」しないということです。

 

三味線習いに来てるお弟子さんたちは、みんな長唄のお三味線を習いに来てるわけで、唄は習っていません。

お唄の師匠のところでお唄を習います。

だから両方に通ってる方たちも少なくありません。

 

それで、こんな時だからこそというか、家にいる人もお勤めの人も、ちょこっと「弾き唄い」やってみないっすか?

とグループLINEに投稿し始めたのが今月の頭から。

いきなり長唄は難しいから、みんな手ほどきで習った「さくらさくら」からにした。

手ほどきのとき苦労した「さくらさくら」。

テンテンチーンって弾くの大変だった「さくらさくら」。

弾くだけで大変だった「さくらさくら」に唄のっけてみよーって。

弾き唄いしてみよーと始めた。


「さくらさくら」 弾き唄い


動画や録音を送って来る人、「やってるよ」「やってみます」と反応する人、そりゃほとんどの人が無反応ですわね、そりゃそーですよね、投げて受け止めたとしても「うけとめました」とわざわざ言わないですものね。

傍観してていただいても全然オッケーだとも思ってます。

「今じゃない」と思うお弟子さんはたくさんいるはずだし。


でも、やると決めました、僕が。

 

で、ずーっと続いています。

これからも続いていくと思います、しつこい質なので。

 

ウチのお弟子さんたちの年齢ってどんな感じなんだろ?

だいたいが僕の年齢を中心に10歳15歳くらいかなぁ?

なんとなく多い世代は歳が近い世代のような。

で、下がですね、12歳が居るんですよね、

この子は間違いなく一番若いです。

ということは12歳から80代の方たちがいます、ありがたいことで。


誰でも自分の音や、ましてや歌声を録音したり録画するって恥ずかしいし、ちょっと嫌です。

ましてや年齢が上がれば上がるほど、「どうやって送るの?」ってなるし。

そこを乗り越えて送ってくださる方もいます。

一人でもそういう方がいれば、やって良かったって思います。


そんな中、一番若い12歳のMちゃんが「さくらさくら」送ってきてくれました。

三味線は今「さくらさくら」をやってますからね、ちょうどね、タイムリーです。

それでも弾き唄いをするのは立派なものです。

もうジーンとしました。


「さくらさくら」の次の課題曲は「鯉のぼり」でした。

Mちゃん、この曲もやったんですが、今回の「鯉のぼり」は彼女に教えたものとは手付けが違うものなんです。

ある時、Mちゃんから質問が来ました。

「譜面の読み方をおしえてください」

「鯉のぼり」の動画には譜面をつけてあります。

それを読んでみようと思ったらしい。

そうなのです、Mちゃんは譜面使わずにやってきてます。だから譜面は読めません。

それなのに、目の前に先生いないのに、譜面読んでみようと思ったのでした。


読み方をざっと書いて「これをヒントにして頑張ってみて」とLINEしました。

それから一週間ほどしたある日、Mちゃんの動画が送られてきました。

見事に「鯉のぼり」を弾き唄いするMちゃん。


いやぁ、年輩の人の動画も感動するが、この動画にホロっと来たーーー。



ほんとは顔上げて唄ってますけどね、敢えて顔わかんないような場面です。