吐夢の映画日記と日々の雑感 -3ページ目

吐夢の映画日記と日々の雑感

ご訪問ありがとうございます。
懐かしい名画、最近の気になる映画のことを

日記形式で書いています。

戦前のフランス映画が大好きです。

あなたはどんな映画がお好みですか??

    

 

 

      



『シネマ⭐️ベルリンのピアノ』

こんばんは。いつもご訪問ありがとうございます。

 

この作品は実のドロンさんと重なるいわば彼の化身のような主人公の

 

お話です。

 

 

ドロンさんの訃報の悲しみ今だ冷めやらず、たくさんの方にもっとドロン作品を知っていただきたく

 

やはりこの作品はもう一度・・・・・

 

 

スタードロンを知る上でも貴重なドラマで、彼がこの作品に向ける情熱が如何ほどのものか

 

読んでいただければと思いまして8年ほど前に投稿したものに手を加えて

 

再度投稿します。

テレビドラマとして放映された
<シネマ・ベルリンのピアノ>・・

6時間という長いドラマですので、要約でとも思いましたが、
折角のドラマですので、
少々長いですが・・とても長いです。


今日も三回に分けて投稿しようと思いましたが


やはり一気に進めます。

気長に読んでくださるとうれしいです。

あ、文章はいつものようにつたないですけれど(笑)

 


この作品は大まかにはフイクションでありますが、
 

主人公のベースになる人物像とはとってもドロンに近く、
 

実際に映画の人気スターという設定で、
 

ドロンの実像を髣髴とさせる興味深いストーリーです。




キャスト

ジュリアン、マンダ=
アラン.ドロン

マルグリット(マンダの母親=
エドウイッシュ.フュイエール

ロッコ (マンダの運転手兼秘書)=
セルジオ.カステリート

ルル  (住み込みの女の子)=
イングリット.ヘルド

カロリーヌ
(マンダの恋人)

シシ   
(カロリーヌの弟

 

ストーリー  前半


6年前映画界のスターダムにのし上がったジュリアン.マンダは
 

52,3歳になるが、世間には42歳と言う年齢で通している。

彼は月に二回、精神病院に入所している母、マルグリットを訪ねる。

母は、昔有名なピアニストであった。
父はパイロットであったが、母と愛し合うようになり、
生まれたのが、マンダであった。
 

ピアニストの母のマネージャーをするようになった父。
遠い昔の事である。

戦後、
 

彼女を主人公とした映画<ベルリンのピアノ>という
 

映画が作られ、
 

興行的にはヒットしたが、
 

その作品は事実が捻じ曲げられていて、
 

そのことが原因で母は、記憶喪失となり、その後精神を病んで
 

今に至っている。

その映画を製作したのは、父が去った後の母の愛人であった。

その後、母と別れたその男が他の女性に産ませた娘が
カロリーヌという女性で、

そのカロリーヌとマンダは
今は三年来の恋人同士の関係にある。...
 

...がそういう事情が二人の間にあるため、
   愛情はあるものの、
 

  マンダの彼女の父親に対する憎しみは消えておらず、
  ことごとくカトリーヌを責めるため、争いも絶えない。

過去の憎しみは消して向き合おうと
三年前には誓った二人であったが。。

今日も、母マルガリットに面会に行ったが、
正常と異常が交叉していて、油断は出来ない状態であった。

マンダが駄作だという自分の主演映画の封切りの初日、


劇場へ様子を見に行って、劇場前で並ぶ列の中に
勝気そうなちょっと目立つ美人を見つけ、
 

秘書ロッコに声をかけさせ、自宅に連れて行った。
ルルという。21,2歳か・・
 

《マリーラフォレを髣髴とさせる..》

なんの目的かはわからないが、とにかく、
 

家に住み込ませる事にした。

パリの大通りに面する大きな自宅には、
 

秘書ロッコと賄いの黒人女性スージーとの三人暮らしである。

ルルの勝気さは、マンダと対等に接する姿勢に
 

なにか光るものがあった。

しかし、今はマンダはそれに気付いていない。

映画スターとしてのマンダのフアンではあったルルだが
 

一緒の家に住んでみて、彼がいつもピリピリして神経質な面を
 

感じとっていた。

忙しいマンダはルルの相手をロッコに任せていた。
何をさせるという風でもない。

マンダの頭の中は、映画、<ベルリンのピアノ>の
リメイクを製作しようということでいっぱいだった。
 

製作権を得るために奔走するが、壁は厚い。
そのためにはローマまで、車を飛ばす。
 

帰りは自家用セスナである。

母の名誉を奪回する為には、どんな事でもして、
リメイクの製作権を手に入れたい。
 

しかし、リメイクをする事は、
却って母を刺激するのではないかと、
 

知人、アルツール達は反対するが、
マンダの情熱はそんなことで、引き下がるような
脳の仕組みではない。

マンダの家ではよくパーテイーが開かれているが、
彼は人ごみが嫌いで彼自身は出ずに、
 

二階のベッドルームから、カメラが
映す階下の様子をテレビを見て笑っている。

出て行っていた恋人カロリーヌが帰ってきた。
しかし、いまだ、口喧嘩は絶えない。

マンダは制作費の捻出に動き回っていたが、
 

その一方で、監督や脚本家を決めて、交渉していた。
 

イタリアの脚本家第一人者ザルジオに会いに行くが、
医師付きの毎日の生活で、体力がないと断られた。
監督は若手を見つけた。

ブァレンヌ街に、マルガリットが以前住んでいた館を
マンダは今も丁寧に保存している。

ロッコとルルは仲良くなり、彼は彼女をそこへ案内する。

そこには三台の名器..ピアノが置かれてあった。
 

二台はピアノに卍マークが付いていた。
もう一台の名器...

★ナチの刻印だ。
 

ロッコは元々、ピアノの調律師をしていてマンダと知り合った。
 

ピアノの説明を聞きながらすばらしい部屋の雰囲気に
感動したルルは
 

その場の雰囲気に酔って、何故かロッコに
迫ってしまった。

   翌朝ロッコに声をかけに行って、
 彼の部屋で二人眠る姿を見たマンダは心が騒いだ。

朝食の席で、彼はロッコにブァレンヌ館の鍵を返せと言った。
 

  ” ルルとどこで寝ようがかまわん。だが、あそこだけは汚すな ”と。
 

あのベッドはマンダが生まれた場所だからだ。
 

勘のよいマンダはふたりが結ばれるならあそこしかないと
踏んだのだ。

それだけではない。マンダの心に彼自身が気付いていない
かすかな嫉妬が走ったのは
 

間違いない。

製作会社のゴールドリッチは
 

旧作、ベルリンのピアノで大もうけをしていて、
 

マンダとは曰く因縁の仲であるから、
 

フイルムを手に入れるのは難解だ。

リメイク権を取るなら、法外な値段を吹っかけようと画策してくる。

銀行頭取立会いのもと、
 

譲渡権は600万フランで契約ということになったが。
ゴールドリッチは難癖をつけてきた。


親子の昔からを知る親友で先輩俳優のアンリは、たまたま、
ルルとマンダの自宅で会う機会があり、
 

ベルリンのピアノをめぐるマンダ親子のこれまでの経緯を
話して聞かせる。

第二次大戦中、マルガリットは精力的に世界中を演奏旅行で
走りまわっていて、当然、ベルリンからも声がかかった。
 

マルガリットは演奏旅行の収益金をすべて、
迫害されているユダヤ人の為につぎ込んでいた。
 

ひとりでも、飢餓や迫害から逃れられるようにと。

そして父は母がヒトラーの前で演奏する事を許さなかった。
 

父は母の元を去ったのはその時だったそうだ。

ベルリンでは、ピアノの演奏には卍マークのついたピアノが
 

用意されたが、拒否する事は許されない。
 

当然、マルガリッタは弾くのを拒めないから、
 

その手段として全部のピアノの音を
 

聴いて、音が悪いと言う難癖をつけ、
 

卍印の無いピアノを用意させた。

選りすぐったすばらしいピアノたちではあったが。
 

そのときのピアノが今、ヴァレンヌにある、
 

卍印の2台と印の無い一台であったのだ。

マンダはそのピアノを大事に、母の変わりに守っているのだ。

そして映画はそういったマルガリットの善意の行いには
 

触れずに彼女の色模様だけを取り上げ面白おかしく
 

作ってしまった...
 

観客はナチに媚を売った国賊として彼女を非難したのだった。

そしてその男はマルガリットを棄て、金を持って
 

行方をくらまし、
 

あの映画を作ったのだった。
 

マンダが憎むのも無理はなかった。

その話を身を乗り出して聞いているルルを見て、ロッコは
 

いずれ、マンダとルルが愛し合うような予感を
 

覚えるのであった。

あの話に感動したルルは、マルガリッタに会いに出かけた。

穏やかな夫人の様子に、ルルはひと目でマルガリットに
憧れを持った。
 

マルガリットもルルに心を開いた。
 

無論、ふたりが会っていることなどマンダは知る由も無い。

”あなた、ユダヤ人ね?”とマルガリット。
 

”ええ”
 

”わたしも知り合いにユダヤ人の人がいてね。
 

 つらい思いもしたけれど...”と。
 

ユダヤ人を助けた過去を断片的に思い出したのだろうか..

一方、カロリーヌの出来の悪い弟シシは
 

マンダガ彼女にプレゼントしようとした指輪を
 

盗み、安く売りたたいて、麻薬を手に入れるというような
 

ことをし、弟を庇うカロリーヌとの間は
 

段々と心が離れていく。

指輪を返せというマンダにシシは姉の金庫に
 

ベルリンのピアノのフイルムがあるからという情報と
 

引き換えにこの件は一応、許してもらったが。


マンダは知人アルツールが借りていた部屋を
 

スタッフたちに使わせようと
 

そこを借りる事にした。

そんな折、病気のシナリオライターが若手の
 

イタリア人の女性ライターを
 

遣してくれた。

何年か前にマンダと組んだ事のあるエレーナであった。

そしてアメリカの映画会社と製作の件で会うがこれも
 

物別れに終わった。

ロッコが突然、マンダの部屋へ駆け込み、
 

テレビをつけろと言う。
 

あのベルリンのピアノでマルガリッタを演じた女優がテレビに
 

出演して、インタビューを受けていた。
 

そのなかで、また、母を中傷するようなことを言うのを見て、
 

怒ったマンダは記者会見をする事にした。
 

アノ女優こそ卍印の売国奴で、許せなかった。
 

興奮したマンダは記者会見で、過去の事実を述べ、
 

どんな事をしても
 

リメイク版を作ると断言した。

そしてカロリーヌの父を侮辱する発言をしたため、

カロリーヌは未練を残しながらも出て行った。

やがて、
 

病院からマルガリッタが居なくなったと連絡が入る。
 

心当たりを捜すも見つからない。
 

警察、医師、友人達と自宅で待機するが居所がつかめない。

憔悴しきったマンダは気晴らしに街へ出かけた....
..


後半ーーーに入る前にちょっとーー



<ベルリンのピアノ>のフイルムの謎、
 

リメイク権は思わぬ方向へ展開し、
 

誰が、マルガリットを演じ、マンダの父親を演じるか...
 

母の死...どうやって映画が出来上がっていくか。。
 

ルルとはどうなるのか..とクライマックスを迎えます..。

★ この中でアランの実生活を覗いたようなシーンが
 

いくつかあります。
 

パリの街を歩くシーン、セスナ機での移動のシーン.
 

パーテイー嫌いのシ-ン。
 

コーヒー好きの彼はいつも大きめのカップで
 

飲むことが多いのですがこの作品ではまるで、
 

スープ碗のような大きなカップで飲むんです。

スタードロンと、スターマンダがいろんなところでダブリ、
 

フアンには興味深いでしょう。

そう、フイクションの部分のベールを剥がせば
 

まるで、彼の私生活を覗いているような
 

気分になるからです...


後半ーーの

配役。

ジュリアン、マンダ=
アラン.ドロン

マルグリット(マンダの母親)=
エドウイッシュ.フュイエール

ロッコ (マンダの運転手兼秘書)=
セルジオ.カステリート

ルル  (住み込みの女の子)=
イングリット.ヘルド

カロリーヌ(マンダの恋人)...

シシ   (カロリーヌの弟)..

アルツール(マンダの顧問弁護士)

マーガレット(マンダのマネージャー)

ゴールドウイッチ(敵役、映画製作会社社長)

ドビット(マルガリットの愛人、カロリーヌの父)

アンリ(マンダの先輩俳優)

   

.....街に出かけたマンダガ立ち寄ったバーで、
 

偶然、カトリーヌに出くわします。
 

弟シシも一緒で
 

彼の嫌味にカロリーヌはマンダを外に連れ出した。

彼女のひらめきで、マルガリットは、
 

ヴアレンヌ館じゃないかと..
行ってみると扉に、鍵はかかっていなかった。


中から聞こえてくるピアノの音。

抜き足差し足で中へ入ると、マルガリットとルルが
 

ピアノに向かい、ふたり並んで連弾をしていた。

そう、ルルにはピアノの才能があったのです。

心配していた事を忘れ、ピアノに聞き入るマンダの後姿に
 

カロリーヌはもう、自分が必要とされていないことを悟り、
 

黙って去った。

”ルルには才能があるわ。彼女とは仲良しでね。いつも
 

わたしの相手をしてくれてるのよ。美人だし..
 

まるでミレーユ.バランみたい!
 

  (そう、名画ー望郷ーのヒロインを演じた女優です)”と
 

マルガリットは、マンダの心配をよそに、幸せそうに..。

マンダはその時、母を通して、ルルの中に
 

若い頃の母を思い浮かべたのかもしれない。
 

マンダのあの表情にはいろんなものが伝わってくる。

さて、撮影は準備がまだ完全でない中で、
 

女優のカメラテストが始められていった。

なかなか思うような女優に行き当たらないが、気長に
 

続けるマンダ。

マンダはルルに贈り物があるから階下に下りるように言った。

1849作、エラール作のすばらしいピアノが置かれてあった。

エレーヌ、ロッコ、スージーなど、みんなが見る中、
 

恐る恐る指を鍵盤にあてるルル。

そして、彼女は威厳を持って、マンダに語りかけながら
 

弾いた。(曲はこの作品の美しいテーマ曲です)

” わたしは例え相手があなたでも、言うとおりにはならないわ。
 

このピアノはわたしにはもったいない。
 

わたしは自分の為に弾く。
 

でもどうしても聞きたければ弾くわ ”

”頼む、弾いてくれ”とマンダ。
 

(ここのアランの顔は全編で一番好きな表情です。)

じーっとルルを見つめ、ピアノの演奏に聞き入るマンダ。


ルルは再びマルガリットに会いに出かけた。

彼って怖いわ。打ち解けないし、。。
 

  ”あの子はわがままななだけ、母親が有名人だし、
 

    欲しいものは何でも持ってる。
 

    父親そっくりで扱いにくいかもしれないけど、 
 

        それだけよ。”とマルガリットは言った。

”私がユダヤ人を助けた事はあの当時、誰でもしていた事で
 

たいした事ではないわ。ドイツにだって言い分はあるでしょう。
 

アメリカやソ連やイギリスの大国を相手にしてたんだから。”

”でも、ジュリアン(マンダ)はそれを誇りにしてるわ”

マルガリットはふたりの行く末を見抜いたように、
 

  ”ルル、あの子は変わり者よ、結婚したあくる日から、
 

     手こずるわよ”

 

自分の気持ちがわからずに、不安になったルルは
 

ロッコに彼の気持ちを確かめずにはいられない。
 

ロッコはルルを心底愛していると思っているが、
 

ロッコはルルにはマンダがふさわしいと
 

思ってもいた。

ある日、怪我をしたロッコの運転手としてルルが付いていった
 

撮影所..

脚本家エレーナはルルに気付いて、見入った。
 

ハッとした。

フイルムの感度のテストをするのに、カメラテストの
 

女優の代わりをやってくれとうまく乗せてやらせてみた。

彼女を見たときにひらめいたのだ。

何度、女優を代えても納得しないマンダ。
 

母親の役だからこそ、だれが演じてみても駄目だったのだ。
 

エレーナはそのことは分かっていた。

出来は上々、カメラ映りもすばらしく、
 

マルガリットを知らないエレーナだが大満足だった。
 

監督も大満足で明日、早速マンダの見せようと。

カロリーヌのいないマンダはシシの遣した娼婦を
 

二階に案内した。
 

階下ではルルとロッコがピアノに、エレーナは隅のソファーで
 

シナリオ書き。(この娼婦が後々禍になる)

翌日、マンダはフイルムを見ながら、身体を乗り出した。。
 

  ”んん?ルルか?..ええ?!
 

  いいじゃあないか。よし決まりだ!”
 

マネージャーのマーガレットもアルツールも
 

素人のルルの起用には反対したが、マンダは
 

ルルは大物の女優になるぜ!と燃えた。
 

明日は俺と対で本番だ!
 

そう、父親の役はスター、マンダが演じるのです。

後ろの入り口で観ていたカロリーヌは....ショックを受けた。
 

マンダにまだ、未練がある彼女は
 

マンダの部屋で彼を待った。
 

階下の様子を映すテレビに涙を浮かべた。
 

ピアノを弾くルルに優しそうに話し掛け、じゃれだしたのを
 

見たからだ。

カロリーヌはベルリンのピアノのフイルムを
 

ゴールドウイッチに売るわと
 

棄て台詞を残して出て行った。

一方、エレーナは台本が先に進まない。
 

資料が何も無いからだ。
 

マンダはマルガリットが大事に持っている帽子箱の一つに
 

40年代の資料、(父や母の写真など)が
 

入っているはずだからと、
 

ルルにもらってくるように頼んだ。

ルルは帽子箱を持って帰ったが、マンダは何故かすぐには
 

明けなかった。

本番の日、君はメイクも良いねと声をかけたがルルは
 

わたしは今までと変わらないわと毅然としていた。
 

女優になって汚れていく不安があったからだ。
 

マンダはマルガリットにそっくりのルルに感慨を覚えた。
 

そして、マンダはルルに言った。

君を大スターにしてみせる、僕に任せろ!”と。


ゴールドリッチとアメリカの製作会社はつるんでいて
 

依然として、配給権や配給収益の件でもめていた。

ロッコはシシに呼び出され、ベルリンのピアノの
 

フイルムを10万フランで買ってくれといってきたが
 

指輪の代わりだとうまく取り上げた。

先輩俳優アンリがガンで後一月の命だと知らせが入った。
 

見舞った彼の口から漏らされた言葉。

映画が出来たときに、ドビッド(カロリーヌの父)が
 

マルガリットから金を巻き上げた見返りに
 

あの映画の権利と配給収益は
 

5年間はマルガリットに、
 

その後はマンダの権利。
 

ネガ、フイルムは全部マルガリットのものだという
 

契約書を交わしていたと。
 

あの5年間にドビットとゴールドウイッチが、
 

契約書を偽造して全部横領していたことも語ってくれた。
 

本物の契約書を捜すのだな。


いよいよ、帽子箱を開けることに。

エリーナお望みの父親の写真や必要なものが出てきたが、
 

驚いたことに
 

アンリが言っていた消えた契約書まで出てきた。

エリーナは歓喜して、これですごい映画が出来るわ!

つまり、3十何年かの横領分、何億フランの請求が
 

ゴールドウイッチに出来るし、
 

宣伝のための格好の材料が揃ったわけだ。

そこにルルがマルガリットを伴って帰ってきた。
 

初めての訪問だ。
 

ピアノの練習を...とふたりで弾き始めた。

テクニックの伝授を受けるのだ。

マンダは壁に寄りかかり、若き頃の母と今の母がふたり...
 

ピアノを弾いているような感慨にふけった。
 

この時、自分の背負ったものを理解してくれる女性は
 

母を充分理解したルルだと...気付いたのだろう。

★、
アラン・ドロンの俳優として、人間としての姿がはっきりと
 

見えてくる最終編です。
 

そしてルルという女性がいかにすばらしいかも。


さて、マンダは
 

ゴールドウイッチのところへ乗り込み、
 

一歩譲って6000万フランの制作費を出せと迫った。

母親に権利のあるものを、マンダは、
 

10年間も四苦八苦追い求めていたのだ。

そばで聞いているカロリーヌとシシ。
 

ゴールドウイッチは
 

カロリーヌに払ってもらえと言ったが、
 

彼に用意させる事で決まった。

カロリーヌは、父が契約書の偽造や、
 

配給収益まで横領したことまでは知らなかった。

君にも責任はあるが、弁償するわという彼女に
 

そこまでしなくてもよいとマンダは言った。
 

筋を通しただけの事だと。

この真実と、恋の痛手にカロリーヌは打ちのめされた。

いよいよリメイク版のポスターが街に貼られ、
 

ルルにマスコミが殺到するのを避けるために、、
 

マンダは彼女を労わって、匿った。

シシとゴールドウイッチは
 

本物の契約書を奪い返そうと.画策する。

一方、
 

ルルとマルガリットは、レストランで食事をしていた。
 

そこで、あの旧作の主演女優だった女性と出くわした。
 

酔っていた彼女はみんなの前でマルガリットに
 

ナチの協力者!、ユダヤ人!と揶揄した。
 

震えだしたマルガリット。
 

ルルは勇気を出して、その女の肩をめくり出し、
 

卍十字の傷をみんなに見せ、マルガリットを庇った。

しかし、マルガリットは興奮し、錯乱し、ルルが誰だか
 

分からなくなり、罵倒した。
 

正常になっていた精神がまた、狂いだし、
 

自分にもマンダにも近づくなと興奮した。

さて、ロッコとルルはどうなった?
 

小さな幸せで良いのにあなたは私をマンダに押しつけたわ。
 

ロッコに強く引き戻して欲しいと思いつつ、マンダに
 

惹かれているのも真実。

そこへ帰ってきたマンダは、
 

”新聞に俺達が結婚するって出てるぞ!”と。

しかし、心の整理がつかないルルは
 

愛はこんなものじゃないわと
 

出て行った。

ロッコはマンダに言った。
 

”いくら可愛くても彼女は人形じゃあないんだから、
 

もっと思いやりを持ってあの娘の話も聞いてやれ!
 

君は自分を押し付けるだけだ。”

マルガリットは錯乱状態が続いていた。

カロリーヌもやけになって街で男を拾った。

シシは自分の女である、あの 娼婦が麻薬の常習者であるのを
 

利用してある事を企んだ。

ホテルで娼婦とマンダが密会するように仕組んだ。
 

昏睡しているマンダの横で麻薬を注射した娼婦は
 

急に苦しみマンダに助けを求めたが、
 

彼はぐっすりと眠っていて、
 

彼女は命を落とした。
 

シシがヤクの量を増やしておいて、
 

致死量を超えていたためだ。

マンダは慌てて逃げた。
 

しかし、ホテルの前に駐車していた車は、
 

違法駐車だと通報があって、
 

レッカー車に持ち去られていた。


そんなことは知らない彼は、
 

タクシーで帰るしかなかった。
 

通報はシシの仕業だ。

結局、車からマンダが浮かび、殺人事件の容疑者として
 

刑事の訪問を受ける事になった。
 

その情報をシシから得たゴールドウイッチは
 

またもや、マンダとの取り決めを覆えそうとした。

ルルの思いつきで、偽のアリバイ証言で一応難を逃れたマンダ。

必死になってマンダを救おうとしている自分に気付き、
 

マンダへの愛を自覚するルル。

”売春婦なんかに現を抜かすからよ、このバカ!”
 

と吹っ切れたようだ・

愛を打ち明けあうふたりだった。

警察は、通報の件から足がついたシシを逮捕した。

署内で出会ったシシとカロリーヌ。
 

涙にうるむ哀れな視線がふたりを見送った。

ゴールドウイッチは惨敗だ。
 

シシの情報に乗った彼は、足元をすくわれ、
 

追い詰められた。

こちらの言い分を通すか、
 

監獄行きかとマンダに詰め寄られ、
 

ついに、引き下がった。

製作にも口を出すな.後は全部自分が取り仕切るから
 

金だけを都合しろと、マンダは押し切った。

大きな問題はほぼ解決した。


撮影も、ルルとの愛も快調。

ベルリンのピアノのフイルムも不要になり、
 

フイルムは、主演女優の君にと、ルルに渡した.

ルルはそれをマルガリットのところへ
 

プレゼントよと、持って行った。

マルガリットは穏やかに迎えてくれた。

レストランの出来事はすっかり忘れているようで
 

いつものマルガリットに戻っていた。

”ビッグニュースよ、マンダと結ばれたわ”

喜んだマルガリットは
 

フイルムを池に投げて笑い転げるのだった。

それを知ったマンダは、
 

  ”名案だったよ、母に処分を任せたのは..
 

     ...君は天才だ!”と喜んだ。

ロッコはマンダに、
 

  ”もう僕のする事はない、6年間、君を庇ってきた。
 

     後は自分ででしろ、
 

     ルルも傍にいてくれるだろう”と
 

  マンダの元を去った。
 

  (もしかしてこのふたり..
    一時は愛し合った仲?
 

    かも知れない..とふと、思ったのですが..)

 マンダには聞こえなかったが、
 

    ”でも、好きだよ”と言った。

 

今まで、誰にも弱音をはかなかったマンダであったが、
 

今、自分の安らぎの場所をルルに見つけ、
 

彼女に素顔を見せ始めた。
 

苦悩も、弱さも。


 ”疲れたよ...僕は好きで俳優になったんじゃあない。
 

  それしか..出来なかったんだ。
 

   プロデューサーも監督も俳優達もみんな
 

   人の生き血を吸っているやつらばかりだった。
 

    でも、僕にはこの仕事しかないんだ。”
 
   ”これからは私がついているわ”

  ”君はこれからの人だ。この作品がヒットすれば、
 

   もう思うように動けないよ。
 

    あちこちから声がかかるだろう。
 

   今のうちにふたりで出来る事をやっておこう”...。

ルルはマンダがそうであったように
 

マルガリットを通してマンダを理解したから、
 

真実のマンダが見えたのだと思う。

マンダもロッコやカロリーヌでは見せられなかったものが
 

ルルの中にいる母に向かっているような安らぎを
 

感じて、初めて
 

本当に女性を愛する事が出来た。


今までの恋愛とはレベルの違う愛でしたね。

長い旅路?であったはずだ。
 

この人に会う為に女性遍歴を繰り返したのかも知れない。

様態の悪い母が又行方不明..
 

いつものように捜すが見つからない。
 

あきらめて撮影所に戻ると、
 

そこにマルガリットは来ていた。

もう、顔色も普通ではなく、精神も極限に来ていた。

  ”自分の家で休もうと思って..
 

   この映画を撮り終えるまでは”と、
 

まるで、自分がこの役をやると言う使命感のマルガリット。

ルルにもマンダにも母の気持ちが痛いほど
 

分かった。

そして、マンダの腕のの中で息を引き取った.


母の葬儀...ひとりのユダヤ人が訪れた。
 

マルガリットさんは偉大なピアニストであっただけでなく、
 

人間としてすばらしい方でした.
 

マルガリットさんにあの時頂いたお金で
 

家族13人が救われました。一言お礼が申し上げたくてと。

最後の撮影。ロッコからの電報..
 

    ”哀しみにめげず、頑張れ!”

 

飛行場での最後の撮影シーンだ。

張り詰めた空気の中、マンダとルルは
 

気を引き締めて取り掛かるのであった。

このシーンでマンダがソフト帽を被る姿が
 

《サムライ》のシーンと
 

重なりましてね。

 

ご本人も意識されていたとおもいますよ。

そして、マルガリットを心から理解し、愛したからの
 

最高の演技が出来たルルであった..。

父親の役を取り終えたマンダも
 

この作品を取り終えた事によって、
 

長い鬱積と苦悩から解放されただろう....

3歳の時に父と自分を残してベルリンへと発った母。
 

帰ってきたときは、もう精神が侵されていて、
 

正常な時の母と向かい合ったことがなかったマンダ。

ひとりで自分の生い立ちや、母の過去を調べ、
 

背負い、悩んできた。
 

その重い荷物からやっと解き放たれ、
 

この真実の映画を作る事によって母の名誉は
 

戻り、決してお金儲けではない、過去と、未来への
 

けじめをつけるための映画作りが終わろうとしていた。

ー-------------
★  アランがインタビューで答えていたように、
 

彼の人生を分かち合える人とはこういうすばらしいルルのような
 

女性なのですね。
 

彼女のすばらしいところは、
 

映画作りの表舞台には全編、一切関わっていない事なんです。
 

ロッコとマルガリットとそして彼女を通じてのマンダしか
 

見つめていない事なんです。
 

男の仕事に介入していない、だけど結果的には
 

一番理解していた。そこがすばらしいと思いますね。
 

そして、音楽をこよなく愛した。
 

心のひだが分かる人であった。

人を理解し、愛する事の真実。
 

そして仕事に身体ごとぶつかる熱意と何ものにも
 

いい加減に妥協しない信念。
 

ちょっと横暴でもそこは男の愛嬌。
 

まさにアランそのものがいました。

自分の俳優としてのあり方をさらけ出し、
 

映画を作るプロデューサーとしての彼をも見せ、
 

愛に対する彼の姿勢をも暗示し、
 

友人は大切にするということも提示し、
 

許せない相手には、決して屈しない。
 

(母の葬儀の時に、みんなのキスと握手を交わしたが、
 

  ゴールドウイッチの差し出す手に、手を引っ込めてくれと
 

  毅然と断った姿)
 

そして新人俳優発掘の経緯、ひらめき、育てる情熱。
 

アンヌ.バリローも、
 

ひょっとしてルル役のイングリット.ヘイドも
 

こうやってスカウトされたのかな。

才能さえ、見えれば監督だって若手をどしどし採用した。

まさにドロンの生き方、人生そのものを
 

いっぱい詰め込んだドラマでした。

沢山のテーマと
 

映画作りに対する情熱といっぱいいっぱいの
 

お土産をくれたドラマでしたね。

凝縮すれば、もっと短時間のドラマでも
 

良かったのでしょうが、6時間と言う長さは、
 

人間アラン=マンダ、
 

俳優アラン=マンダ、
 

プロデュサーとしての、アラン=マンダの
 

日常をリアルに
 

詳しくかつ贅沢に描写した結果となり、
 

我々フアンにはうれしい事ですし、また、彼も
 

フアンの為にそうしたのだと思いました。


長ーイ紹介文になりましたが、堪能出来ましたでしょうか。
 

途中で飽いたかたもおられたたでしょうが、お許しあれ。

キャッチボールは受け手がしっかりしないと
表面の愛だけでは落っことしてしまう..
ルルは見事な女性でした。

 

ルルを演じたイングリット.ベルド、

最初はまだ少女の面影を残して

おりましたが、後半、特に女優として

マルガリッタを演じるころには

輝くような美しさを放っていました。

最後までお付き合いくださいまして
ありがとうございました。

読んでくださった方々
ありがとうございました。

そして、

今はフランス版DVD、字幕なし・・・フランス語??わかりましぇーん・・・。

 

度々鑑賞しております。


一生の宝物です。

  ★アランに共感して下さった皆様、
    彼の好きなシャンパンで乾杯!!
  

  ドロン様、ジュリアン・マンダさま、天国で安らかに・・・

 

 追記

私の表現不足で、マンダの人物像が
いまいち
分かり辛かったかもしれません。
補足させてください。

映画に登場するマンダという人物は
激しさと優しさが同居している。

几帳面さとラフさも併せ持つ。

好き嫌いもハッキリとしている。

仕事に関しては真面目で一途。
良い加減が嫌い。

すきな先輩は尊敬し、大事にする。
気に入れば後輩や、若い人たちの
才能の芽を伸ばす助力を
惜しまない性格。

懐も深いが、理不尽なことに
対しては時たま暴力的にはなる。
が、決して短気ではない。

女性に対しては優しいが、
決して媚びることはない。

使用人に対しても蔑むことはなく、
むしろ甘える。

わがままなように見えるが、
本人のポリシーを
どのくらい理解出来るかどうかで
人の判断は様々であると思います。

マンダ=ドロンさん

 

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