『マンハッタン物語』・・二人の愛は人ごみで始まり人ごみで深まった!!  1963年度 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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 『マンハッタン物語』

     
さあ、今夜は女性がきっと好きになる作品です。


単なるラブロマンス‥と思って見た作品だったんです。

アカデミー賞にノミネート・・?ってことは、かなりハイレベルな作品ってこと??

見て良かった!!ラスト この歳で感動しちゃった!



ロバート・マリガン監督とプロデユーサー・アラン・J・パクラのコンビは『アラバマ物語』に続いて2本目。

原題は (love with the Proper Stranger)   1963年度


ゆきずりの恋・・・・なんですが、


それが(マンハッタン物語)という邦題。


実は監督とプロデューサーのコンビがあの超名作(アラバマ物語)の

次の作品になるからでしょうか、その流れでつけた??


ドンピシャな邦題。

主人公ロッキーの父母。


昔に別れた元彼女で今は友人の妻で

悪ガキの前では普通のオカンになっている女性。


主人公ロッキーの現在の彼女のバービー、


他人の種で妊娠しているのを承知で結婚しようとする料理人。


その母と姉妹達

正に マンハッタン の人情物語。

だからドンピシャな邦題なんです。


さて本筋は、売れないバンドマンとデパートガールの恋です

バンドマンというのは古今東西、大体モテるし、女にだらしなく、

えらそうに無神経な言動や行動をする・・モノ??と思われていますよね。


   そのお話とは・・・


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場所はマンハッタン音楽従事者斡旋協会の会場



ロッキー(ステイーブ・マックイーン)の前にアンジー(ナタリー・ウッド)が

 

大勢の人ごみの中、突然現れ、

妊娠してしまったことを告げるところから、映画は始まります。

 

 




一夜を共にした彼女のことなど覚えていないほどいい加減な男なのですが、

彼女に請われて処置するための医者を探そうとして……


もともと結婚なんてワナにかかるようなものだと思っている男だが、

自分の責任だと知ると、ガールフレンドの1人ストリッパーのバービー(イーディー・アダムス)に

相談したが逆に腹をたてられてしまった。

 



彼女は親切でやさしい。町に捨てられていた犬・・10匹位・・?を引き取って世話をしている。

犬好きには堪りませんなあ・・



一方アンジーにはデパートの勤めを終えて帰宅するのを待ち受ける3人の兄弟。

古びたトラックで待っている・・悩みの種である。

その上、母が、近所のレストランを経営するコロンボ(トム・ボスレー)と

結婚させようとしている これも悩みだった。


ロッキーは医者を紹介してくれる男を見つけたが、400ドル払ったが、

足元を見て、50ドル上乗せを言ってきた。


その金を作るためにやばい場所を離れ、ロッキーは歩く。

アンジーはロッキーを憎悪しつつも彼に追従してマンハッタン中を

駆け回る。


彼の両親から金を借りると、

アンジーを連れて出かけた。


が、案内されたのは怪しげなアパートの一室。


部屋に入ったものの女医とはとても思えない怪しげな女で

 

外で待っているロッキーは我慢たまらなくなって中に入る...


女に向かって”本当に医者か?  アンジイー、、服を着ろ、帰るんだ!  指一本触れさせないぞ!”



スリップ一枚になっていたアンジーは、泣き出し、今置かれた自分の状況を考えて

ノー、ノーとやるせない声で泣き崩れた。

ロッキーはしっかりとアンジーを抱きしめた。

この時ロッキーはアンジーへの愛をはっきりと認識したのでは・・・



ひとまず、ハービイの家に連れて行って寝かせた。

夜が明け、

見れば一匹のワンちゃんが枕元に、一匹のワンちゃんが胸元に、

もう一匹のわんこが右腕に抱かれ、もう一匹が左腕を枕に寝てるではありませんか。

アンジーの安心しきった顔を見てそっとロッキーは一旦出かけた。

帰ってきたハービイは、んん?と思っただけでなんてことはないようだ。


ロッキーはアンジーの弟ドミニック(ハーシェル・ベルナルディ)に

全てを打ち明け、アンジーに結婚を申し込んだ。右目の上にあざを作っておりましたが・


が、罰を受けると言ったロッキーにアンジーは断った。

責任を取る為の結婚はごめんだと。

数週間後アンジーはすべてをわきまえたコロンボの求婚を入れた。

が、これも間違いと気づき、アンジーはロッキーと仲直りするが、

またもや喧嘩。すったもんだで、結局はゴールインというお話なのだが。。。。




産みたいのか堕ろしたいのか…というナタリー本人の意思は一度も示されなかった。


その理由はナタリーの家庭環境にある。

過保護な兄と、それに従う二人の弟。

昔気質の母親に囲まれた実家で、自立心を奪われた彼女は、

兄が選んだ結婚相手とお見合いをさせられたり、

ついに家出したかと思えば1分後には帰ってくるような主体性がゼロの女性。

アンジーにとって『マンハッタン物語』は、意志薄弱の彼女が主体性を手に入れ、

とうとう   をするまでの物語なのである。


ロマンス話ではない。


マックイーンは金持ち女のヒモになって

自由気ままな人生を送っている無職のバンジョー奏者。


のらりくらりと生きているチャランポランな奴。

文なし、宿なし、関わった女は数限りなし というような男

であるが、

アンジーの妊娠を知ったことで

少しずつ責任感を持ちはじめ、彼なりに事態を真摯に受け止めた。

アンジーの考えとは全く折り合わないが、


ロッキーにとっての『マンハッタン物語』は、無責任極まりない彼が

道理をゲットして   をするまでの物語なのである。



撮影がすばらしい・

マンハッタンの街並みが随所にちりばめられていて、それが実にいいわけです。

 

1950,60年代好きにはたまらない。

ウエストサイド物語のあの街なみです。

冒頭、ミュージシャンは職を求めて音楽協会が募集する会場へ・・・

人、人の中でアンジーはロッキーを掴まえる。

ラストは 街の人ごみの中 ”死ぬより、結婚がまし” というようなプラカードを掲げ、

バンジョーを弾きながらアンジーの後を執拗に追う・・・・そして人がひしめきあう交差点のド真ん中で

ナタリーとしっかりと抱き合うのです…。

まさに冒頭とラストが人ごみの中というシーンです。



愛とは恥も外聞もなく自分を捨ててもつかみ取るという姿勢が素敵。

そんな結婚なら、信じられるよね。そんな行動を相方にしてもらったことありますか??


二人の恋愛模様というよりもヒロインの人間性をひたすら掘り下げた内容になってます。


ナタリー・ウッドは数々の不幸を背負った庶民的女性を演じ、

スクリーン越しにアメリカの暗部をえぐり出したスター。(雨のニューオリンズ)もそうだね。


そして衣装、イデス・ヘッドが担当しているが、ナタリーが1960年代のアメリカンファッションで

とても素敵ですし、マックイーンはこてこてのアイビールックでこれまた様になってた。


トレンチコートよりもステンカラーのコートが似合う。

ボタンダウンのシャツが似合う、ツイードのジャケットが似合う。


この映画は、あの当時のアメリカ社会の

 

隠れた部分や知られていない生活面など、

 

 

問題点を示唆しています。

キャストは素晴らしく、脚本は完璧で、ストーリーの組み立ても完璧。

何度も見たくなる種類の作品。


お気に入りのシーンは、アンジーが自分を守ってくれる愛情深い家族が

うっとおしくて腹を立て、わめきたてて

自分の部屋に閉じこもるシーンです。

   小さなアパートにはドアがないため、

プライバシーと効果を確保するためにカーテンで仕切っています。

そのカーテンをさーっと引・・・年頃の娘にはやりきれないだろうな と。


ハービーに扮するイーデイー・アダムス・・・

夫のアーニー・コバックスがコルセアの車で突然亡くなった後、

再び働かなければならなかった。
  

彼女はとても優しい心を持ったエキゾチックなダンサーとして登場する素晴らしいです存在。

彼女のアパートには野良犬ともう一人の野良犬スティーブ・マックィーンがいます。

   何度も言いますが、犬好きの方にはたまらんです。

 

本当に後味の良い映画です。

   

第36回 アカデミー賞(1964年)のノミネート
    
女優賞    ナタリー・ウッド

脚本賞    アーノルド・シュルマン

撮影賞(白黒    ミルトン・クラスナー

衣装デザイン賞    イディス・ヘッド

美術賞(白黒

     
第21回 ゴールデングローブ賞    

最優秀主演男優賞(ドラマ部門)    スティーブ・マックィーン

最優秀主演女優賞(ドラマ部門)    ナタリー・ウッド