『巴里祭』・巴里の下町のお話・ルネ・クレールの詩情溢れる映像・1933年度 仏 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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懐かしい名画、最近の気になる映画のことを書いています。

好きなのは戦前のフランス映画です。

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    こんばんは。

 

パリが舞台の作品ということで今夜は、二夜目。  

 

 

        『巴里祭』
           

 

                     
             
アナベラという女優さんをご存じですか?



まず、ルネ・クレール1933年の作品 『巴里祭』はどうでしょうか。


この時期、1930年代ですか、ハリウッドが快調に飛ばしている中で

フランスでは第一次黄金期の幕開けで、

ジャック.フェデー監督、

ジャン.ルノワール監督、

ジュリアンデヴィヴィエ監督、

ルネ.クレール監督の

四大御所の大活躍が始まりました。


ルネ・クレール・・・・やさしい笑いで人を包み、映像と音楽のすばらしい調和を生み出した巨匠・ルネ・クレール。


≪巴里祭≫ー---主演はアナベラ


私が見たアナベラの作品は、『巴里祭』と『地の果てを行く』と『北ホテル』の三本。



アナベラは1910年フランスの片田舎生まれ。

1926年16歳のデビューである。

2,3の作品に出た後,ルネ.クレールの≪ル.ミリオン≫で

その愛らしい容貌を世界に知らしめたようである。


1933年の同監督の≪巴里祭≫でフランス映画界の

不動のスターとなりますね。

ルネ.クレール監督は下町の詩人と言われたように

≪巴里の屋根の下≫

≪リラの門≫など,下町の市井の人々を淡々と描きましたが

下町の人情と笑いを描き、それは芸術ともいえる映像と相まって

すばらしい感動を与えてくれます。

≪巴里祭≫は≪巴里の屋根の下≫の続編とも取れる作品で

前者の作品で登場する田舎から出てきたポーラという女性が

同じ女優さんで同じ役で登場。

『巴里の屋根の下』では、可憐な女の子でしたがこの作品では

巴里の垢に染まって悪の情婦に身を落としています。


アナベラは母を養う花売り娘アンナとして

その可憐な容貌,容姿を披露しています。


パリ下町が舞台の、フランス革命記念日”巴里祭”の前日に

心を通い合わせた男女のすれ違いの恋物語が、

モーリス・ジョベールの名曲に乗せてロマンティックに描かれる。

主演のアナベラは、その可憐な美しさから<翼をなくした天使>と称えられ、

日本でも大ヒットを記録した初期の代表作。

巴里祭というのは日本だけの呼び方のようです。パリでは巴里祭とは言わない。
      

 

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パリの下町・・・


タクシーの運転手をしているジャンは、向いのアパートに住んでいる花売娘のアンナに恋をしていた。


だが彼にはポーラという昔からこのあたりをうろついていた女がいた。



アンナの方もジャンのことを憎からず想っていた。


フランスの国の祭ともいうべき七月十四日の革命記念日の前夜、


二人は野外の真中で踊った。



この時、アンナは酔いどれの老人客に粗相があって,



花を売りに出入りしていたダンス場から、出入りを差し止められて腐っていた。

ちょうど、俄か雨で踊りの人が散ってしまって、アンナはジャンと二人きりになり、

お互いに本当に相手のことを好きなんだと気づいた。




その夜の時間は二人にとって満たされたものだった。



しかし、翌日、七月十四日、パリ中の人々が祭りで有頂天になっていた日のことだった。

ジャンの部屋を訪ねたアンナはそこに女の持ち物を見たのだった。


これはポーラの持物で、昨夜遅く彼女は酔ってジャンを訪ね、無理やり泊まり込んだのであった。

ジャンは当然、一晩を外で明かしたのだったが、

そんなジャンの思いやりを知らないアンナはジャンに不信感を抱いた。


悪いことに、病気だった母がその晩死んでしまったのである。


アンナは一人ぽっちになり、部屋も引っ越さざるを得なくなった。


アンナは近所のキャフェに勤め始めた。

いっときの誤解から気まずくなったア二人は随分と長い間会わなかった。


自暴自棄になったジャンはチンピラまがいになり、

ポーラはポーラでジャンに付きまとわなくなり、新しい男の情婦となっていた。

それからしばらくして、ジャンはフェルナンという男の片棒を担いでカフエに強盗に入った。

偶然にもそこはアンナの勤めているカフエだった。


その時アンナを見てジャンは自分の間違いに気づいたのだった。

彼女を危険から守ろうと奮闘。

アンナも男をかばおうとした。


アンナはカフエを解雇された。

二人がまた会えない日が過ぎていった。


ある日、アンナは以前迷惑をかけた酔いどれの老人客から、随分高価な値段で花を買ってもらう機会を得た。

 



彼女はそのお金で長いことやめていた花売りをまた始めることが出来たのだった。


そして仕事中、アンナの花を積んだ手押車はタクシーにぶつかった。


皮肉にも、その車の運転手はジャンだった。

ジャンもまた正業に戻っていたのである。

周りのやじ馬が騒いでいる中、また俄雨がふってきた。

野次馬は散っていくと、ジャンとアンナとはまた二人きりになっていたのでした・・・・


にわか雨が結んだ恋。

パリの片隅のそんなお話でした。

フランス映画トーキー最初といっても良いころのスター・アナベラの

かわいらしさ。

チャプリンや小津安二郎など世界の映画作家に多大な影響を与えた巨匠ルネ・クレールの

トーキー三作目の作品です。