パラレル.マザーズ       スペイン.フランス 2021年度

監督 = ペドロ.アルモドバル

昨日、『光をくれた人』を再投稿しましたが、
今日の作品を書くのにちょっと
比べてみたかったのです。


同じ日に出産し、母となった二人の女性の
数奇な運命に、監督にとって非常に大事な
(スペイン内線)
という事実を絡ませ、

単なる子供の取り違え事件に終わらせない  
深くて  独特な世界観を見せてくれた作品です。

パラレルとは、同時進行とかいう

意味合いらしく、
同時期に出産をするという経緯を

そんな形で撮影しています。


2007年にスペインでは、

(歴史的記憶法)というものが制定されている。

これは、1936年から1939年まで続いた

内戦とその後の1975年までの軍事政権下での

政治弾圧を受けた犠牲者の名誉を回復し、

遺族を補償するというものです。

監督アルモドバルがずっとこだわり続けていた

テーマであったのです。




ヒロイン、ジャニスに   ペネロペ.クロス

                   アナに            ミレナ.スミット

                    アナの母        アイタナ.サンチェス=ギヨン

                    アルトウロ     イスラエル.エレハルデ

ストーリー


産院のベッドで隣り合わせになったジャニスとアナ。

ジャニスは写真家、アナは17歳の共に未婚の母。

シングルマザーとして生きていかねばならない

二人だったが、再会を約束して別れた。

 



ジャニスの恋人で赤子の父親はアルトウロっと言って

既婚者であった。

初めて娘セシリアに会ったアルトウロだが、

どうしても自分の子とは思えないという。



相手はアルトウロでしかありえないのに

悩んだ末、

なぜか不安になったジャニスはDNA鑑定を依頼した。

 



100%ジャニスの子ではないとの結果。


ある日、家の近くのカフェで、偶然そこで働いている

アナに出会った。

アナの子供が赤ん坊の突然死という病名で亡くなったことを知ります。


母の元を出ているなど、アナの今の生活状況を知り、

ベビーシッター兼家政婦として住み込みで、

アナを雇うことにします。

 



アナはジャニスに友人以上の愛情を持つようになり、

二人は同性愛の関係となります。

ジャニスはもしかしてセシリアはアナの子供ではないか

と.....こっそりアナに気づかれないように

アナとセシリアのDNA鑑定を依頼します。


それは懸念していた通りの結果でしたが、ジャニスは

すぐにアナには伝えることができませんでした。

 


ある夜、アルトウロから、連絡をもらい

出掛けていくと、

かねてより、依頼していた問題がうまく

いきそうだという話でした。

お酒も入って夜遅く帰ったジャニスにアナは

嫉妬心から しつこくアルトウロのことを

問いただします。

ジャニスは彼に会った目的を話します。

若いあなたたちは     どう?

スペイン内戦のことは知ってる?

墓ではない場所に無造作に埋まっている先祖の遺骨を

掘り起こす許可が出たのよ!

フランコ独裁体制の時に迫害された人々...

私の祖母や祖父も。

やっと家族の墓に迎えられるの。

アルトウロはその事を知らせに来たの。

そして子供についての真実も伝えた。

アナは怒り、非難して子供を連れて、

ジャニスの元を去った。


発掘作業の現場に赴く、ジャニスたち遺族に混じって

子供を抱いたアナが混じっていました。

 



アナは若さ故の無茶で

子供の親が誰だかわからないという形の出産でした。

父も母も自分を見捨てたと思っていた。


が、陰でアナの母はジャニスに会っていた。


ジャニスはアルトウロの離婚が成立したことを知る。

そして、再びアルトウロの子を身籠っている。

子供を失った哀しみは二人にはあるが、
アナは子供と一緒にジャニスの側にいる。

発掘に関わる一族の強い絆。
 

血の繋がりしかり、して


血のつながりだけではない

 

  人間と人間が愛し合うことの大切さを

 

知るということを、

 

戦争を知らないアナのような若者に

 

知って欲しい、考えて欲しいという

 

監督のメッセージの作品でしょう。

夫婦にとって子はかすがいというが

そうでなくとも、

 

子はみなに幸せをもたらすものだ。

『光をくれた人』も数奇な運命の二人の女性に

赤ん坊が幸せを与えてくれた  。

 

母と娘の血縁

民族の"血の歴史"

血を強調するのか、赤色の画面が鮮烈に目に

焼き付きました。

母親の葛藤、母二人の連帯感、愛と憎しみ、

そして喪失感。そして連帯......


そういったものをさらりと

 

魅力的に描いていると

おもいました。

いい作品を見せてもらいました。


ペネロペ.クロスは   ヴエネツイア国際映画祭や

その他の映画祭で、この年の

主演女優賞を数々受賞しています。
  

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