シャーロト・ランプリングの          ≪スイミング・プール≫

彼女はおおむねミステリアスな役どころの多い女優さんですが
 

今作品も例に漏れずミステリアスなミステリー作家を演じています。

現実と空想が交錯する初老にかかった女性作家と自由奔放な若い娘が
 

奇妙な同居生活をおくることになるちょっと気になった作品です。

監督は≪8人の女たち≫のフランソワ・オゾン
 

初老の女性作家にイギリスから、シャーロット・ランプリング
 

自由奔放な若い娘にフランスから、リュデイヴイーヌ・サニエ

若さと老いのミステリードラマはどんな展開を見せてくれるのでしょうか・
 

シャーロット・ランプリングの作品は過去に
 

≪愛の嵐≫
≪ともしび≫
≪評決≫
≪さざなみ≫   を投稿しました・
 

クールというにはあまりに単純な表現であり、
 

少し垂れて覆いかぶさったまぶたの奥にあるブルーのするどい眼光は
 

冷静な中の覚悟と悟りが感じられ、真正面から向き合うと
 

後ずさりしてしまうような気概できっと圧倒されるでしょうね。
 

≪さざなみ≫では2015年にベルリン国際映画祭女優賞
 

≪ともしび≫では2017年にヴエネツイア国際映画祭で女優賞。
 

特に≪さざなみ≫はフランスのセザール賞をはじめ色んな賞を
 

総なめにしている。
 

今夜取り上げる≪スイミング・プール≫は2003年の作品で
 

実在の女性作家を研究し、サラ・モートンという女流作家の人物像を
 

作りあげたようである・
 

イギリス人であるサラは殺人も捜査も推理にもあきあきしてきて
 

結局のところスランプに陥っている・・・というところから物語は
 

始まる。

ものがたり
 

サラは地下鉄の中で中年の女性に声をかけられた。
 

彼女は斜め前のシートに座っていた。
 

彼女の手元には分厚い本が・・表紙の裏にはサラの写真が載っていた。
 

だが、サラはニコリともせずに”お人違いでしょ”と面倒くさいかのように
 

言い放って席を立ち出口へと向かった。

        


 

編集者へ着くと編集者のジョンは小さな賞を受賞したある新進作家の相手を
 

していた。サラは最近は自分のことを放ったらかしだとジョンに嫌味を
 

ぶちまけた。若手の作家を褒めることも気に入らなかった。
 

”お金は唸るほどあるだろう。”とジョンは遮ったが、サラは
 

”そんなことじゃない”とすねた。
 

出だし4,5分でサラの人となりが分かりますね。
 

他人に対して高慢でぶっきらぼう、嫉妬深く、無愛想などなど・
 

ジョンが自分のことをお金を稼ぐ商品だとしか思っていないと
 

思い込んでいた。
 

ジョンは”フランスは好きか?”とサラに尋ねた。


ジョンはサラにスランプ脱出の為にフランスのジョンの別荘で
 

執筆することを提案した。
 

”あなたは来ないの??   ”多分週末には行けるとおもうよ”
 

どうやらジョンとサラはいい仲のようです。
 

あまり期待もせずにだがサラは出かけた。
 

駅に着くと管理人のマルセルが出迎えに来てくれていた。
 

外観はまるで緑に囲まれた美術館のような2階建てのステキな建物だった。
 

その静かな別荘をとても気に入ったサラ。
 

フランスの片田舎にあるその別荘は
 

自然豊かで何より静か・・プールもありました。
 

ここで別荘生活をひとり愉しみながら執筆できると思うとサラはわくわく
 

していました。大きく深呼吸をしてゆっくりと息を吸い込んで・・・・
 

急いで荷をほどきパソコンを準備するサラ。

       
 

サラは新作を執筆する気になっているようです。
 

近所に食材を買いに出かけカフエにも立ち寄りました。
 

帰るとパソコンのキーが動き始めました。
 

コーヒーカップを片手に家の周りを歩きプールを覆うシートの上の落ち葉を眺め
 

何もかもが彼女には新鮮に映りかかってきたジョンの電話にもサラは
 

機嫌よく対応できるほどに穏やかになっていました。


が落ち着く間もなく、静寂は破られました!!
 

夜更けに階下から物音が。
 

下りると若い娘が大荷物を引っさげて、当分ここに住むという。
 

若い娘はジョンの娘で名はジュリーだといって傍若無人にふるまい、サラを戸惑わせます。

 

         

と・・・・奇妙な同居生活は強引に押しきられて始まってしまいました。
 

嫌悪感さえ湧くジュリーの態度に、それでもサラは気になるのか翌朝
 

庭からジュリーの部屋を見上げていた。
 

そして二階の部屋へ戻ると、落ち葉の浮いたプールで泳ぐジュリーが見えた。
 

若くてぴちぴちとした眩しいほどの娘の肢体はサラの嫉妬心を煽った。

         

デッキチェアに横たわるサラのそばに豊かな胸を露にしたジュリーが寄ってきて
 

サラの身上調査よろしく質問をした。
 

料理も得意でないサラは着いてから食事らしい食事もせず、とうとう
 

近所のカフエに昼食に出かけた。オーナーは若くてワイルドないい男だ。

次の日もカフエに行きオーナーのフランクと会話を交わし、仲良くなりました。
 

ジュリーは毎夜、何処から連れてくるのか違う男を家に連れ込みます。
 

そんなジュリーに嫌悪感を抱きながらも段々とジュリーのことが気になり
 

惹かれていきます。そしてジュリーを新作の題材にすることに決めました。

 

        

題名は   ジュリー


フランクと会話をするサラはいい笑顔をしています。
 

サラはプールサイドでジュリーの下着を見つけ、気になってジュリーの荷物を
 

あさりに部屋へ忍び込みました。そこでサラは荷物の中に
 

母親の日記を見つけます。
 

サラはそれをこっそり持ち出し、新作の題材にしようとしました。
 

サラの打つキーは確実にすすんでいます。

マルセルが何人かでプールをキレイにしました。
 

プールで泳ぐサラ。デッキチェアーで眠っているとジュリーがプールに
 

飛び込み泳ぎ始めました。


 

ジュリーの目元にアザを見つけたサラ。昨晩は帰ってこなかったジュりーを
 

食事に誘います。出かける前にサラの部屋を覗いたジュリーはそこに
 

自分の下着があることに気づきます。
 

フランクの店でジュリーはサラに自分の生い立ちのことを話します。
 

ジュリーはここで育ったこと、フランクとも顔見知り。彼ともジュリーは
 

関係しているようです。
 

母親は元々小説を書いていたがジョンにけなされて書くのを止めたこと。
 

そしてジョンに捨てられ今はニースに住んでいること。わけがあって
 

ジュリーと母親も一緒に住んでいないことなどが分かりました。
 

ジュリーも寂しいのですね。


翌朝、ジュリーはサラの部屋で荷をあさっていて、小説に自分のことが書かれて
 

いることを知ってしまいます。


サラはいつもの通りフランクの店から帰ってきたが、ジュリーは居なかった。
 

その夜、ジュリーはフランクを連れて帰ってきました。三人で飲み踊り
 

サラは部屋へ戻って窓からプールを眺めるとジュリーとフランクが裸で
 

泳いでいました。二人は抱き合おうとしましたがサラが投げた石の音で
 

フランクはジュリーが引き止めるのも聞かずに帰っていきます。


翌日、フランクの店を訪ねますが、フランクはおらず、店は閉まっていました。
 

別荘に戻るとプールサイドに血痕が・・・・そしてフランクのものと思える
 

靴下の片方、もう片方は暖炉で燃やされていました。
 

フランクの店を訪ねたサラ。だが、店は閉まったままです。
 

マルセルに尋ねてもフランクの居場所はわからない。
 

マルセルの話によるとジュリーの母親は何年も前に
 

事故で亡くなっているとのこと。

 

    

別荘に戻ると
 

”ママが戻ってきてくれた”とサラに抱きついてきた。
 

”私はママじゃないわ”というとジュリーはパニックになったようで
 

失神してしまいました。
 

翌朝目を覚ましたジュリーに聞きただすと、夕べフランクを石で殴って
 

殺したというではありませんか。理由はサラとサラの小説のためという。
 

そして、サラはフランクの死体を見つけました。二人は死体を埋め、証拠になる
 

ものは全部燃やします。


ふたりは何事もなかったように普段どおりに振舞います。
 

マルセルは芝刈りをしていてフランクの埋まったところをなぜか気にします。
 

サラはマルセルを誘惑し、部屋へと連れ込みました。

ジュリーはサントロペのレストランへ発つ前にサラに別れを告げる。
 

サラはジュリーにおなかの傷のことを尋ねると車の事故で受けた傷だという。

ジュリーの部屋にサラへの置手紙があった。
 

ママの小説は燃やしたんだけど、コピーがあったので、サラに
 

その小説完成させて欲しいと書いてあった。

任されたサラは新作を完成させ、原稿を持ってジョンを訪れますが
 

ジョンは”サラさしくない、抽象的過ぎる”
 

とけなされます。が、サラは
 

”そういわれると思って他社からもう発刊してもらったわ”
 

その新作本を、”娘サンにあげてちょうだい”と言って
 

題名≪スイミング・プール≫を渡しました。

サラが編集社を出ようとしたときにジョンを訪ねて娘がやって来ました。
 

その娘はジュリーとは違って清純そのものの可愛い娘でした。


扉の窓からジョンと抱き合う娘を眺めながら・・・別荘で会ったあの
 

ジュリーは一体何者だったのだろう・・?
 

別荘で起きた事は小説が出来上がるまでのサラの妄想であったのだろうか?
 

別荘で起きた事は全てサラの作り上げたジュリーへの憧れの裏返しの現われで

 

小説の中でしか羽目を外せない自分に対してあんなに自由奔放に振舞ってみたいという願望が
 

妄想の中で膨らみ小説は書き上げられていったのであろう?
 

当然サラも小説の中の一人として登場しているわけで・・・
 

謎です。ミステリー!です・・・・・発想も、エンデイングの音楽も
 

画面から漂うアトモスフエアーも極めてフランス的で
 

ステキなつくりになっています。

 

ああそう言えばフランス映画、アラン・ドロンの作品≪真夜中のミラージュ≫のミステリアスな作品と

 

ちょっと似ている気もいたします。
 

ウーン、面白かった。

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