≪イングリッシュ・ペィシェント≫ 1996年度製作
ジュリエット・ビノシュというフランスの女優は一般には
≪ショコラ≫という作品でお馴染みでしょうね。
私は≪ポンヌフの恋人≫で強烈な印象を受けましたが、彼女のファンに
なったのは≪存在の耐えられない軽さ≫です。
無垢で純粋で傷つきやすく、うちに秘めたポリシーをやわらかく表現してくれた
あのビノシュはとてもステキでした。
仏映画界で、イザベル・アジャーニの後を継いだビノシュは
1983年デビュー後すぐにカラックスに見出され、
≪汚れた血≫、≪ポンヌフの恋人≫とアレックス三部作のの二本に
起用された。その二本の間にアメリカに呼ばれ、≪存在の耐えられない軽さ≫に
出演。押しも押されぬ大女優への階段を昇っていくことになった。
数々の作品で、カンヌ、ヴえネッツイア、ベルリンと三大国際映画祭全ての
さて今夜はそのビノシュがアカデミー助演女優賞を受賞した
≪イングリッシュ・ペイシェント≫=
"イギリスの患者"
を取り上げてみます。
なおこの作品は明日、NHKBSで放映されます。
作品は第二次世界大戦下の北アフリカが舞台。
簡単なストーリー
撃墜された英国の飛行機から男が助け出される。その男は
全身に火傷を負っていて記憶も失っていた。
撃墜されるに至るまでにもドラマがあり、またこの記憶喪失の男の
ここに至る前の人妻との、砂漠における狂熱の恋物語に
壮烈なドラマがあった。
これから記憶が徐々に戻っていくにはあるひとの看護があったからで、
そこからも
美しいドラマが始まる。
看護に当たるハナ(ジュリエット・ビノシュ)も恋人、親友を
戦火で亡くしたという哀しみを抱えていた。
患者を安全、安静にする必要があったので、
現在廃墟となっている修道院に患者を移し、看病することになった。
献身的に看護するハナの看護は男の心を開き記憶を少しづつ戻していった。
男の名はアルマシー(レイフ・ファインズ)。
ハンガリーの伯爵家に生まれ、英国地理学協会に従属するエリートだった。
リビアの砂漠を探検調査していた。考古学調査の一環だった。
キャサリン(クリステイン・スコット・トーマス)とジェフリー(コリン・ファース)の夫妻も加わっていました。
アルマシーはキャサリンと恋に落ちました。
密会を続けるうちにキャサリンは少しづつ罪悪感を持ち始めます。
ジェフリーの嫉妬は復讐心へと変わり、小型機の助手席にキャサリンを乗せアルマシーの
居場所へと操縦します。
アルマシーの記憶はそこで途絶えていました。
カラヴアッジョというカナダ人が修道院の納屋に住み始めます。
この男はスパイ容疑をかけられ親指を切断されています。その原因を
つくったのがアルマシーであると思い、復讐の機会を
狙っています。
その上、
爆弾処理の専門家だとキップという人物がここに
住み始めてしまいます。
が、なんとハナとキップが愛し合うようになります。
カラヴアッジョはアルマシーを責めました。
アルマシーがスパイで、そのせいでアルマシーの親友マドックスガ自殺したと。
それを聞いて、アルマシーはジェフリーがキャサリンを乗せた飛行機で
アルマシーを道連れに死のうとアルマシーめがけて突っ込んでいったことを
そしてジェフリーは死に、重傷を負ったキャサリンを砂漠の中
洞窟へと運び、助けを呼びにまた灼熱の砂漠へと足を踏み出します。
キャサリンにはきっと帰ってくるからと別れを惜しみつつ、一人残される
キャサリンの不安を振り切って・・・・
幾日歩いただろう・・アルマシーは辿り着いた町で
ドイツ軍にスパイと疑われ囚われます。
キャサリンを助けだすという願いは絶たれてしまった
のです。
ドイツ軍から
考古調査中の地図と交換にガソリンを手に入れ、
飛行機でキャサリンの元に行きましたが
キャサリンはすでに
亡くなっていました。彼女の遺体を運ぼうと飛行機に
乗せたところを撃墜され
キャサリンは飛行機と共に燃え、アルマシーは火達磨
となって
助け出されたのでした。アルマシーはスパイでもなん
でもなかったことが分かり
カラヴアッジョの復讐心は治まりました。
アルマシーはハナにモルヒネによる安楽死を頼む。
ハナはそれを受け入れ、キャサリンが
洞窟で最期に記した日記を読み聞かせながら
最期を看取ったのでした。その時、ハナの心に
生きていく気力が湧いてきたことをしっかりと感じて
いるのでした。
ハナとカラヴアッジョは共に修道院を去るのでした。
広大な砂漠に放り出されたとき何も出来ない人間の弱さ
偉大な自然の前では無力な人間。
美しい看護士ハナの秘めたる謎を絡ませ 現在と過去
が緻密に交錯する
ストーリーに引き込まれていきます。
登場人物それぞれが抱えるドラマ、それをいつのまに
か分かち合っていく
過程が見事な構成で感動を与えてくれました。
キャサリン役のスコット・トーマスもきれいで印象的
でしたが
ハナ役はビノシェで正解、謎めいた美しさと優しさが
ビノシユならではの
絶品でした。
今回はアカデミー賞俳優のコリン・ファースが引き立
て役でしたね。
ビノシュは大女優なんだけれども脇で輝く
存在感のある女優さんなんですね。
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