《細雪》  市川 崑監督


BSに又ひとつ局が増えましたね。
 

BS松竹東急・・・で夜の八時に銀座シネマというのが始まりまして、
 

本日は私も取り上げました作品 《配達されない三通の手紙》が放映さています。
 

月曜日に《細雪》が放映されますので本日は
 

その市川作品を取り上げてみます。


細雪と言えば
 

多分、昭和58年度市川崑監督作品で、ご存知の方が多いと思う。
 

それにしても、この作品でさえ作られて
 

もう40年近くにもなるのですねえ!

小説については、数十年以上も前に読んだので、細かい部分の
 

記憶は薄い。

製作 東宝 S.58年度
 

監督 市川崑
 

出演 岸恵子.佐久間良子.吉永早百合.小手川祐子.
   伊丹十三.石坂浩二

うる覚えのなかで、ここだけははっきり思い出せるのは。
 

幸子がことの他こだわりをもった人で、風流狩りーと言う言葉
 

が出てきたと思う.

鯛は明石の鯛、花は京の桜ーー
 

南禅寺から祇園の夜桜、瓢亭の食事、嵯峨野を回って二日目に
 

最後の平安神宮の枝垂れ桜で納める。
 

そして、日にちをおいて御室の八重桜。と幸子は言う。

これを、やりたくて、と言うより分かるようになってから
 

やりたいと思い、念願かなって20年程前に
 

京都の友人2人と実行した。

私は四姉妹のうちでh,ノー天気だけど一番人のいい幸子が好き。
 

市川 作品を語る前に
 

島 耕二監督で
 

昭和33,4年の作品があるのでちよっと比べてみます。

製作  大映
 

監督  島 耕二
 

出演  轟 由紀子
    京 マチ子
    山本富士子
    叶 順子
    山茶花 究、船越英二

 

この作品は4姉妹の話と言うことで、
 

日本の女性のタイプが大雑把ですが分けられますね。

どちらの作品も
 

3女雪子の結婚の行方を縦軸にあの時代の
 

船場、芦屋の上流家庭の生活、生き方を横軸に描いています。
 

そしてあの頃の本物の贅沢とはどういったものかもわかって興味深いです。
 

そしてどうしても言いたいのは、
 

この両作品を見比べて、雪子のとらえ方が全然違っていることに
 

気が付いたことです・


島作品の雪子はいつも自由奔放な妹の妙子のことを気にかけ
 

彼女の幸せを一心に願い、
 

自分の結婚のことは、気にかけながらも、決して打算はなかった。


小説の雪子は生きた作中人物として描いていないから、
 

生き生きと描かれた次女幸子、四女妙子と太刀打ちできない。


が市川作品の雪子は違った。
 

何も口に出さず、男の目が、いつも
 

自分にあるのを十分意識し、何度ものお見合いにも
 

はっきりした意思を言わないようで、(心の中ではとうに
 

答えを出していながら)ぐずぐずしたように見えて、
 

一番いいとこ持ってったーー嫌味な女性として私の眼には映った。


 

その上、幸子の夫=義兄貞之助が自分に思いを寄せているのを充分承知していて

 

妙子に足の爪を切らせるところをじーっと見る貞之助の目線を

 

色っぽく返す雪子の目線は妖艶でもありました。吉永小百合さんでしたが。


 

しかしある意味で存在感を示した。市川解釈であろう。

市川作品を見るまでの雪子像は、大和なでしこ
 

だと思いこんでいた。

が市川作品の雪子が違ったのが新発見でした。

 

密かに想いを寄せる義兄辰雄と貞之介の気持ちを悪く言えば弄ぶようにも見え、それに気づいている

 

鶴子と幸子は雪子の存在そのものが・・・・で早く片付いて欲しい。

 

雪子はずるさと賢さ、何処に居ても男の目が自分に来るのを十分に承知しているオンナ。

 

ふわーっと2人がそういう思いで頷きあう。決してあからさまには言わない。



長女鶴子が一番平凡で鷹揚、おっとり。


 

次女幸子は一番お人好しであるが感情的。

 

小説においては谷崎の理想の女性として、
 

雪子を書いていたと思う。

確かに島作品における雪子も理想の女性像であり、原作に忠実である。
 

が雪子の存在感としてはどうか?
 

となると薄いんですね。

市川作品では存在感はある。が原作の雪子とは
 

はっきり違う。

落ちぶれ行く船場に育った4姉妹。

ある作家さんが、谷崎の”細雪を
 

亡びゆく”美”への挽歌的作品と評していたが、
 

映画はどうだろう?

市川作品は、某呉服メーカーとタイアップしたか、
 

確かに着物は百花繚乱で美しかった。

しかし、その姉妹の人物像の捉え方は極めて現代的に
 

私の眼には写った。
 

人物像の中にも美を描いてほしかったと
 

思うのは私だけか?

その昔、谷崎が自分の作品の映画化で
 

心に思い描いていた人物像をピッタリと演じ切ってくれた
 

女優は”春琴抄”の京 マチ子だけだと語ったそうだが、
 

みだらな役も上品な役も喜劇もこなす彼女はやはり
 

すごい女優だ。

つまりは、小説も、島作品も市川作品も、
 

次女幸子が主役であるとしたい!!
 

また本当の主役は 風流 とはこんなものだという映像であるかも・

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